孤立防ぐ3つのネットワークとは
中西さんは1年の育休を経た後、時短制限を付けて仕事に復職。2022年5月に長男が誕生したことで再び1年の育休を取得し、現在も時短勤務を続けながら仕事と2児の育児に励む充実した日々を送っている。
育児と仕事のバランスについて中西さんはこう語る。
「育休取るからってその前後で頑張ってしまう人が多いと思うんですが、心身のバランスを崩したら働く人にとっても自分自身や家族にとってもリスクが大きい。だから無理しないのが一番です。
育休後の復職だけでも大変なのに、そこに子育ても乗っかれば、仕事の総量をコントロールしないと確実に潰れてしまう。会社と相談しつつ、時短勤務や在宅ワークなど子どもが小さいうちは特に負荷のかからない働き方に工夫することが大事だと思います」
また育休中に社会から孤立しないために重要だと思ったのは、「親族」「父親同士」「行政・地域支援」の3つのネットワークを持てていたことだという。
「義理の両親が近くに住んでいて良好な関係性が築けていたので、困ったときにすぐ助けてもらえました。あとは地元で父親同士のコミュニティが持てたことがとても大きかったです。
自治体の父親向けセミナーで出会ったお父さん同士で仲よくなって、気軽に公園に行ったり、お茶をしたりして、自治体で一緒に父親向けの講座なんかも企画しました」
そんな流れから、2人目の育休中にパパ友らと父親の育児に関する情報提供や仕組みづくりを行う一般社団法人「Daddy Support(ダディーサポート)協会」を設立。現在、中西さんは同団体で理事を務めている。
「『育児を推進から支援へ』というメッセージを掲げ、活動を続けています。育児支援の対象は女性に向きがちで、父親は支援のネットワークから漏れがちですが、育児に携わる父親だって支援の対象です。
男性は人に頼るのが苦手だったり、自分の悩みや弱さを見せることが苦手な人も多いですけど、誰かを頼ったり相談することっておかしいことではなく、とても自然なことなんだって世の中全体でもっと認知されればいいなと思っています」
取材・文/木下未希