レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、レッドブル・レーシングから多数の主要人物が離脱していることを、不安視していないという。
レッドブルからはここ最近、これまでチームを屋台骨として支えてきた数々の重要メンバーが離れている。チーフ・テクニカルオフィサーのエイドリアン・ニューウェイをはじめ、スポーティングディレクターのジョナサン・ウィートリー、レース戦略責任者のウィル・コートネイなどがそれにあたる。ちなみにニューウェイはアストンマーティンに、ウィートリーはザウバー/アウディに、コートネイはマクラーレンに、それぞれ移籍することになった。
昨年に目を向けると、チーフ・エンジニアリングオフィサーを務めてきたロブ・マーシャルもチームを離れ、マクラーレンに移籍している。
これらの動きについて、マックス・フェルスタッペンの父親であり、元F1ドライバーでもあるヨス・フェルスタッペンは、「これは私が警告していたことだ。今や去っていく人が多すぎる」と苦々しく思っていることを明かしている。
しかしマルコ博士は、motorsport.comの姉妹誌であるFormel1.comのインタビューに応じた際、異なる考えを持っていると語った。
チーム代表のクリスチャン・ホーナーと、マルコ博士の権力闘争が、多くのスタッフが離れる原因になっているのではないかと尋ねられたマルコ博士は、次のように語った。
「まあ、これは自然な流れだと思う。我々のように成功を収めると、人材が引き抜かれるモノだ」
そうマルコ博士は言う。
「コートネイは、ポジションと金銭面で、はるかに魅力的なオファーを受けたんだ。それは、今回言及されたほとんどの人に当てはまる」
マルコ博士は、コートネイの後任として戦略の責任者を務めるのは、戦略エンジニア主任のハンナ・シュミッツになると明言。今季のチャンピオン獲得、そして来年以降のマシン開発に注力しなければいけないと語った。
「我々は団結し、今年の世界選手権を勝利し、来年、再来年も成功するマシンを作るために全力を尽くさなければいけない。それがマックス・フェルスタッペンをキープし続けることができる基礎なのだから」
フェルスタッペンは2028年シーズンいっぱいまでレッドブルとの契約を結んでいるものの、離脱の噂が絶えない。メルセデスはフェルスタッペンの引き抜きを画策したものの、結局は育成ドライバーのアンドレア・キミ・アントネッリを、今季限りでチームを離れることになったルイス・ハミルトンの後任として据えることを決めた。トト・ウルフ代表は、今後はフェルスタッペンとの交渉を行なうべきではないと考えていることを明言している。
しかしその一方で、ニューウェイを獲得して勢いに乗るアストンマーティンは、フェルスタッペン獲得を引き続き狙っているとされる。
なお今年のレッドブルは徐々にパフォーマンスが低下し、コンストラクターズランキングではマクラーレンに先行されてしまった。ニューウェイが離脱していなければ、現在の苦境を解決できていたのではないかと尋ねると、マルコ博士は次のように語った。
「それは幻想的な質問だ。我々には多様性のあるチームがあるし、彼らがこの問題を解決しなければいけない。いや、解決するだろう」
しかしマルコ博士は、現在使っている風洞施設はかなり古いモノであるため、新型の風洞が稼働するのを楽しみにしていると語った。
「もっと近代的な風洞があれば役立つだろうね」
そうマルコ博士は認めた。
「我々の風洞は、英国軍が建設した、戦後のモデルなんだ」
「最新の風洞ではない。むしろかけ離れているね。そして2026年には、最新の風洞が稼働するのを期待している」