バニャイヤ、マルティンとの一騎討ちを制し今季8勝目。中上貴晶、13位でフル参戦最後の母国レース終える|MotoGP日本GP決勝

 MotoGP第16戦日本GPの決勝が10月6日、モビリティリゾートもてぎで行なわれた。優勝はフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)で、今季8勝目をマークした。

 この週末のもてぎは3日間通して天候が不安定。Moto2クラスのレーススタート直後には雨が降り出し赤旗中断となったもののすぐに雨は止み、走行ラインはほぼドライコンディションという状態でMotoGP決勝レースを迎えた。

 ポールシッターはGASGASのペドロ・アコスタ。土曜日は自身初のポールポジションからスプリントレースに臨み、首位を走ったものの痛恨の転倒。決勝での初優勝を目指した。

 2番グリッドはランキング2番手のフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)。11番グリッドと後方からのスタートとなったポイントリーダー、ホルヘ・マルティン(プラマック)よりも前でフィニッシュするのが至上命題と言えた。

 日本メーカー最上位はヤマハのファビオ・クアルタラロで12番グリッド。フル参戦最後の日本GPとなる中上貴晶(LCRホンダ)は21番グリッドから追い上げを狙う形となった。

 24周レースのスタートで首位に躍り出たのはバニャイヤ。うまく加速し、アコスタを交わしてみせた。後方では、マルティンが一気に6番手まで浮上。9番グリッドだったマルク・マルケス(グレシーニ)もその前5番手につけた。さらにマルティンはダウンヒルストレート手前でマルケスとエネア・バスティアニーニ(ドゥカティ)の2台抜きで4番手に上がる勢いをみせた。

 ジョアン・ミル(レプソル・ホンダ)とアレックス・マルケス(グレシーニ)が接触・転倒したこともあり、中上は17番手でオープニングラップを終えた。

 アコスタはペースよく、首位バニャイヤの背後にピタリ追走。そこから少し離された3番手を走るブラッド・ビンダー(KTM)にはマルティンがプレッシャーをかけるという序盤の展開が動いたのは、3周目の最終コーナー。アコスタがリヤを滑らせ、またも転倒を喫してしまったのだ。アコスタは後にレースに復帰したものの、最終的にピットに戻りリタイアとなった。

 その直後、マルティンはビンダーを攻略し2番手に浮上。1.4秒前を走るバニャイヤを追った。ビンダーはさらにマルケスにも交わされ、表彰台圏内から陥落した。

 バニャイヤとマルティンはファステストの叩き合いで3番手マルケス以下との差を拡大していく。中でもマルティンは前日のスプリントとは打って変わった力強い走りで、バニャイヤとの差をジリジリと縮めた。しかしバニャイヤもそれに反応。両者は0.9~1秒ほどの差で周回を重ねていった。

 残り15周となり、バイクの交換(フラッグ・トゥ・フラッグ)が許可されることを知らせる白旗が振られる中、バニャイヤとマルティンのバトルは一進一退。ギャップが一時0.7秒を切ったかと思えば、また0.9秒まで広がるという互角のバトルだ。

 しかしレース折り返しを過ぎると、今度はバニャイヤがジリジリとマルティンとのギャップを拡大。ふたりの差は残り9周には1.5秒まで広がった。

 3番手争いも接近。マルケスがコーナーでミスをしてタイムをロスすると、バスティアニーニが差を詰め、表彰台最後の1席を虎視眈々と狙った。

 残り5周になると、雲の合間から日差しが差し込むようになった。マルティンは再びバニャイヤとの差を縮めていき、残り4周で1秒を切るギャップに。しかしバニャイヤは残り2周のところでギヤチェンジし、ラストスパートで一気にマルティンを振り切って、1.685秒差でファイナルラップに突入した。

 最後は広げたギャップを切り崩しながら、バニャイヤがトップチェッカー。見事にレースをコントロールし、今季8勝目をマークした。これで2位となったマルティンとのポイント差を10点まで縮めることに成功した。

 3位はマルケス。バスティアニーニに迫られながら、ポジションを守りきった。

 5位にはフランコ・モルビデリ(プラマック)が入り、トップ5をドゥカティが独占。6位はビンダーだった。

 日本メーカー勢最上位はヨハン・ザルコ(LCRホンダ)。クアルタラロはスタート位置と同じ12位フィニッシュとなった。

 中上は前を走るライダーが転倒したこともあって、7周目に入賞圏内の15番手に浮上。最終的に9位を争う集団の中、13位でフィニッシュした。