累計発行部数4600万部を超えるヤクザ漫画の金字塔「静かなるドン」を原作に、伊藤健太郎さんを主演に迎えて大きな話題を集めた前作から1年。映画『静かなるドン2』が完成。その後編が公開中です。

シリーズ続編として新たに鳴瀬聖人さんが監督、脚本・総合監修を前作の監督・山口健人さんが務め、人気任侠シリーズ「日本統一」の主演と総合プロデュースも務める、本宮泰風さんが前作に続いて猪首役と総合プロデュースを続投します。

続編では伊藤さんが戦う激しいバイオレンスアクションのほか、コメディ&恋愛模様、ホラー要素も加わり、ノンジャンルな作風が魅力となっています。伊藤さん、本宮さん、鳴瀬監督にお話をうかがいました。

●続編にふさわしくスケールアップした作品になっていると思いましたが、完成した映画をご覧になっていかがでしたか?

伊藤:今回はパート1の世界観を引継ぎつつ、さらにアクション、コメディ、シリアスなドラマなどがどうパワーアップしていくのか、観てくださる方たちにどう伝えていくのか、続編のお話をいただいた時から考えていました。いただいた台本をそのまま映像化出来ればパワーアップしたものになると思いましたし、初号を観た時にそれが出来たと強く感じました。

鳴瀬:前作とは打って変わって、明るくブッ飛んだ続編になったなと思い、自分でもとても楽しく観ました。プロデューサーから「今回はふざけて」とのことだったので、僕のテイストでやらせていただきました。もともと原作もブッ飛んでいるので、そこに近い感じでやらせていただきました。

本宮:鳴瀬監督はまだ若く、精神的にも肉体的にもたくさんの気苦労があったと思うんです。撮影期間も長かったですし、こういう撮影現場でメンタル的なことを維持していくことは大変だったと思います。僕は出番がない時も監督を家まで送り届ける車の中で話を聞いたりしていたので、試写を観た時は泣いてしまいました(笑)。

●前編の冒頭から主人公の近藤静也がキレキレに踊り出すので、その先のワクワクが増した方も多かったのではと思います。



伊藤:冒頭のダンスは撮影初日でした。「静ドン」ならでは、なのですが、まさかあそこまで踊るとは思っていなかったんです。それで撮影現場に行ったら振り付けを説明されて、「これを今覚えるんだ!」って(笑)。

鳴瀬:ガッツリ振り付けありましたから(笑)。

伊藤:朝イチの撮影だったので、出社される方たちに横目で見られながらやっていました。あの感じで始まると前作を観ていただいている方は「これこれ!」と思われると思うので、ツカミとしては最高かなと僕自身も思いました。なので、しっかり踊ってよかったと思っています(笑)。

鳴瀬:アクション監督が「伊藤さんはアクションの手を瞬時に全部覚えるので、大丈夫!」と太鼓判を押されていたので、僕も信じていました。

本宮:「静かなるドン」の守らなければいけない規律は守り、それぞれに突出している挑戦もあったので、新しい世界が広がったと思います。

●また、魅力的なキャラクターがたくさん出て来る続編なのですが、とりわけ静也と出会う彩子役の新谷ゆづみさんが印象的でした。

伊藤:新谷さんはとても頑張っていました。静也と彩子のふたりのシーンは監督もこだわられていて何回も撮ったのですが、ツンデレの感じだったりを自分の中でも模索されてやっているようで、向き合う姿が素晴らしかったです。

鳴瀬:ヤクザの世界やホラー要素も含めて、シリアスなテイストが多かったので、そこにもっとラブコメの要素を多くしたいなと思い新谷さんにお願いしたのですが、カフェのシーンも大変だったと思います。いろいろと気持ちがグワグワする中で、パフェを食べる姿が撮れてよかったと思いました。あれは新谷さんと探りながら導き出したシーンだったんです。

●最後にみなさんへメッセージをお願いいたします。

伊藤:今回はパート2ということで、たくさんの新しい素敵なキャストの方に来ていただきました。アクション、コメディ、ちょっとホラー的な要素もあり、いろいろとパワーアップしているので、一度二度と映画館で楽しんで観ていただければと思います!

本宮:新しい世界観が広がったこの新作を、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

鳴瀬:『静かなるドン』というとヤクザものというイメージがあると思うのですが、ヤクザものを観たことがない人たちにこそ、観ていただきたい作品になっていると思います。というのもヤクザの一家を描いているので、実はギリギリ、ファミリー映画だと思っているんです(笑)。楽しい映画になったと思いますので、ぜひご覧ください!

●今日はありがとうございました!

■ストーリー

昼は堅気としてデザイン会社で働く近藤静也。実は、夜になると新鮮組総長という二つの顔を持っている。

ヤクザにもかかわらず争いが嫌いな静也は堅気として働き続けることを望む一方で、総長としても静也らしい斬新なアイデアで新鮮組を盛り上げていた。

鬼州組との抗争が終了して数か月…。

静也は鬼州組の海腐が懲役から戻り、六代目総長に就任したことを知る。警戒していた新鮮組だったが、そんな新鮮組をよそに海腐が静也に会いに来ることに。海腐から和平を提案され戸惑う静也だったが、鳴戸や他の組員たちの意見をよそに鬼州組との和平を進めることとなる。ところが、静也の命を狙う謎の殺し屋・Mr.Jが現れ、静也は海腐との和平を結ぶ日までで逃げ惑うことに。

鳴戸と猪首や航、生倉の協力のもと、無事にその日を迎えた新鮮組だったが…。

(執筆者: ときたたかし)