鼻から喉に鼻水が流れる「後鼻漏」もよく現れる症状の1つだ。
「日本人の鼻水の生産量は、1日あたり平均1リットルと言われています。その大半は鼻や喉を加湿するために蒸発。健康な人にも後鼻漏はありますが、大抵は気になりません。ただし、副鼻腔炎だとネバネバした鼻水が喉に流れてしまう。喉に絡んだ痰をペッと吐いてみると、黄色の固まりで出てくると思います」
同様に、慢性的な鼻の不快感は合併症を疑ってかかるべきかも─。「元々アレルギー性鼻炎の症状があると鼻の換気が悪い。そのため、炎症が残りやすくなります。しかもアレルギー性鼻炎による炎症と勘違いして、放置してしまいがちです。厄介なのは、くしゃみや鼻水を止める治療が副鼻腔炎の治癒過程を阻害してしまう可能性があること。あくまで副鼻腔炎は感染症なので、アレルギー薬で鼻水を止めるのはNGなのです」
時として、細菌やウイルス感染以外が原因となるケースもある。
「空気中に飛んでいるカビです。こればかりは、レントゲンやCTなどの画像検査あるいは培養検査をしないと判断がつかない。この場合は抗生物質が効かないどころか、逆に常在菌を殺してしまって余計にカビを育ててしまいます。副鼻腔を手術して掃除する以外の治療法はありません。経験の浅い医師だと気づけないケースもあるだけに、注意が必要です」
抗生物質が効かないケースがもう1パターンある。
「『好酸球性副鼻腔炎』という鼻の中にポリープ(鼻茸)ができるタイプの副鼻腔炎があります。『好酸球』が異常に増えてしまう状態で、体質なのでポリープを切除しても永遠に繰り返してしまいます。元々、好酸球は体内の寄生虫を退治するためにある白血球の一種ですが、現代人に寄生虫を飼っている人はほとんどいません。それだけに、ターゲットを見失って組織に損傷を与えるようになってしまったのでしょう。嗅覚障害や喘息の症状が現れることもあります」
予防のためには、市販の洗浄液を用いた「鼻うがい」が肝要となる。
「鼻をかんでも取り除けない粘り気のある鼻水や、ハウスダストなどのアレルゲンを洗い流すことができます。ちなみに、水ではなく洗浄液を用いているので痛みもほとんどありません。もっとも、副鼻腔を洗浄することはできませんが、予防や症状緩和は期待できます。少なくとも副鼻腔炎の手術をした人には、1日1回やることを推奨しています」
得体の知れない、鼻の不快感にはお試しあれ。
【副鼻腔炎チェックシート⑪】
セルフチェックで6点以上なら近くの医療機関へGO!
①3カ月以内に風邪をひいた 1点
②鼻水が喉に落ちてくるのが不快だ 1点
③1日に何度も痰を吐かないと気持ち悪い 1点
④鼻をかんでも異物感が残る 1点
⑤1日に何度も鼻をすする 1点
⑥自宅や職場が埃っぽい(換気をする習慣がない)1点
⑦口臭がにおうと言われた 2点
⑧黄色いドロッとした鼻水が出る 2点
⑨目の周りや頰(歯)が痛い 2点
⑩ニオイがわかりにくい 2点
⑪自分の口臭の臭さに自覚がある 6点