「アナタのお口のニオイが耐えられないの!」─最愛のパートナーから、こうキスを拒まれた経験はないだろうか。どれだけ口臭ケアをしても消えないニオイ。その根本原因が、「鼻の奥」にあるかもしれないのだ。まず思い返してほしい。ここ数カ月の間に鼻風邪をこじらせていないだろうか?

 鼻の周囲にある4種類の空洞を「副鼻腔」と呼ぶ。顔の左右合わせて計8カ所ある副鼻腔の粘膜に炎症が起きると「副鼻腔炎」となる。東京・目白にある「もちづき耳鼻咽喉科」の望月優一郎院長が解説する。

「大きく『急性』と『慢性』に分類されます。まず急性は風邪などで生じる炎症が鼻だけでなく、副鼻腔にまで広がるもの。炎症が起きている部位によって、目の奥が痛くなったり、歯が痛くなったりと症状が現れます。眼科や歯医者で検査していく流れで『副鼻腔炎』と診断を受けてから耳鼻科に来るケースも珍しくありません。炎症箇所で白血球が細菌を排除する中で膿が排出され、溜まってしまうのです」

 もっとも、きちんと抗生物質などによる治療をすれば治るのが大半だ。とはいえ、中途半端な治療で炎症を残してしまうと「慢性副鼻腔炎」に悩まされることになる。

「例えば、『鼻風邪』を市販の風邪薬だけで治療をするのは推奨できません。表向きの炎症を抑えることはできるかもしれませんが、深部の炎症を残してしまうケースがある。どうしても副鼻腔は骨に囲まれている部位だけに、薬の成分が届きにくいからです。そして、炎症を3カ月以上放置していると、膿のような濃い鼻水が出てきたり、常に鼻が詰まるような感覚だったり、そんな症状が慢性化する。かつては『蓄膿症』とも呼ばれていました」

 副鼻腔に蓄積された膿は、とにかく悪臭を放つ。吐息に混じって呼吸のたびに体外に放出されるだけに、口臭もどぎつくなるという。

「口から生ごみや体調の悪い日の大便のような腐卵臭が出る。ドブ臭いと感じる人もいるかもしれません。いずれも、膿に臭くなる菌が培養されているのが原因ですが、慢性的な鼻づまりのせいで口呼吸になって、口内が不衛生にもなっています」

 悪臭を根絶やしにしようにも、単純に「鼻をかむ」だけでは解決とはならない。

「粘り気が強くて出てきません。せいぜい、パンパンに溜まった中の一部が漏れ出る程度。鼻の中には鼻水が慢性的に流れているので、健康体の人よりも鼻クソもできやすい傾向にあります。鼻水の水分が蒸発して凝固したものですからね。鼻の粘膜の炎症によってできる『かさぶた』とは違って、色合いも黄色味を帯びているのでわかりやすいと思います」

 つい鼻をほじってしまう人は耳鼻科に行くべし!

副鼻腔炎チェックシート⑪】

セルフチェックで6点以上なら近くの医療機関へGO!

①3カ月以内に風邪をひいた 1点
②鼻水が喉に落ちてくるのが不快だ 1点
③1日に何度も痰を吐かないと気持ち悪い 1点
④鼻をかんでも異物感が残る 1点
⑤1日に何度も鼻をすする 1点
⑥自宅や職場が埃っぽい(換気をする習慣がない)1点
⑦口臭がにおうと言われた 2点
⑧黄色いドロッとした鼻水が出る 2点
⑨目の周りや頰(歯)が痛い 2点
⑩ニオイがわかりにくい 2点
⑪自分の口臭の臭さに自覚がある 6点

(つづく)

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