FIA F3のブルーノ・ミシェルCEOは、今年のマカオGPでF3車両でのレースを実施することは「完全不可能」だったと主張。その穴を埋めるカテゴリーとしてフォーミュラ・リージョナル車両が選ばれた理由を説明した。
若き才能たちの登竜門として長い歴史を誇るマカオGP。今年も11月13日から11月17日にかけて開催されるが、舞台となるギア・サーキットをこれまで38回にわたり駆け抜けてきたF3車両が近い将来、“東洋のモナコGP”に戻ってくることはないだろう。
F3がマカオGPから離れた理由について、ミシェルCEOは次のように説明した。
「我々は今年、新しい車両を製造しているため、かなり早い段階でメカクロームにエンジンを返却し、来季車両用にエンジンを改良してもらう必要があった」
「だからマカオに行くのは、ロジスティクスの関係で完全に不可能だった」
F3のシリーズとしての進化もマカオGPでのF3レースの存在感を低下させている。
GP3とFIA F3ヨーロッパ選手権が合体して2019年に設立された現在のFIA F3は、FIA F2と共にF1直下のピラミッドを完成するためのパズルのピースのひとつだった。
そしてCOVID-19の世界的蔓延により、マカオGPでFIA F3車両が使用されたのは2019年と2023年のみ。その間は中国のF4選手権が3度開催されていた。
「マカオはかつてF3ワールドカップだった。その理由は、世界中にF3選手権があり、マカオで一堂に会しレースをすることができたからだ」
ミシェルCEOはそう語る。
「FIA F3選手権は現在ひとつしかない。つまりマカオは(FIA F3車両のレースを実施したとしても)、多かれ少なかれF3選手権の別ラウンドという扱いになるだろう。イベントやレギュレーションが全く同じでないのなら、チャンピオンシップからは外れることになるだろう」
「しかし、F3が開催されることへの関心は以前よりも少し薄れていた」
今年マカオGPではF3車両に代わり、フォーミュラ車両ではひとつ下のカテゴリーとなるフォーミュラ・リージョナル車両がワールドカップで使用される。世界各地で数多くのフォーミュラ・リージョナル選手権が開催されていることを考えると、当面はマカオGPで2024年の形が継続するだろう。そうなれば、真の意味で、年に1度限りのワールドカップが実現する。
「フォーミュラ・リージョナルは世界中にいくつも選手権があり、マカオで開催するのは理にかなっている。異なるフォーミュラ・リージョナル選手権から集まったドライバーたちによる、本物の世界選手権になるからね」とミシェルCEOは言う。
「そういう理屈なのだ。もちろん、将来的に我々は、このように継続できるか検討するだろう。しかし私としては、この形が理にかなっていると思う」
F3車両のワンメイク化に伴い、FIA F3とFIA F4の間を埋めるローカルシリーズとして設けられたフォーミュラ・リージョナル選手権。ヨーロッパでは2019年から、日本でも2020年から開催されている他、現在はアメリカ、オセアニア、中東で選手権が行なわれている。
第71回となる今年のマカオGPでは、FIAフォーミュラ・リージョナルワールドカップとして全世界から12チームが参戦予定。日本からはTOM'S FORMULAとTGM Grand Prixの2チームがエントリー予定だ。