【取材】さらば森田哲矢。借金200万「自堕落な生活」から遅咲きの苦労人。相方スキャンダルで変わった仕事観。

「仕事入った、ラッキー」が「会社を支えなあかん」に変わった瞬間

退社後、森田さんは個人事務所「株式会社 ザ・森東」を設立。政策金融公庫から数百万円の融資を受けましたが、設立当初の仕事は少なく、同期のお笑い芸人たちが売れていく姿を見て焦りを感じる時期もあったそうです。

「そのころはまだ、幸せとか、そういう感覚はないかもしれないです。とりあえず必死でやってるって感覚」

その後、森田さんは方向転換を図ります。賞レースへの出場を辞め、単独ライブやYouTubeチャンネルの開設に力を入れました。その結果、少しずつテレビ出演が増え、認知度が向上。「徐々に右肩上がり」の状況が続きます。

そんな中、相方・東ブクロさんのスキャンダルが発覚。東ブクロさんは活動休止を余儀なくされ、森田さんは苦境に立たされることになります。しかし、この経験が森田さんのはたらく価値観を変える大きなターニングポイントとなりました。

「それまで週2~3あった休みが0になって、『あ、ほんとにはたらかなあかんねんな』っていう。会社を支えないといけないんだなって、ちょっと思った」

それまで「テレビの仕事入ったやん。ラッキー」という感覚だった仕事に対する価値観が、会社経営者としての覚悟に変わった森田さん。この経験から、森田さんは事務所経営のリスクも真剣に考えるようになりました。広告の契約内容を見直し、経営者としての責任を強く意識するようになったそうです。

(広告の後にも続きます)

「楽して稼ぎたい」は今も変わらない。けれど……

かつては借金を抱え、将来の展望が見えない日々を過ごしていた森田さん。「個人事務所を設立してから、はたらく幸せや価値観は変わりましたか?」という問いかけに対し、こう語ります。

「自分の人生でこんなに給料いただけることがあるんだなっていう驚きというか、自信はできたかなと思います」

お笑い芸人を目指した当初の「楽して稼ぎたい」という思いは今も根底にあるものの、森田さんが実際の仕事に向き合う姿勢は大きく変化しています。

「実際そんな楽なことはないじゃないですか。我慢せなあかんとこは我慢せなあかんとは思うんすよね。でも、俺らは普通にはたらくことができなかった人間やから、普通にはたらくよりは楽よねっていう感覚でやってますね」

この投稿をInstagramで見る

さらば青春の光 森田(@saraba_morita)がシェアした投稿

最後に、森田さんははたらく人へのアドバイスとして、「やりたくない仕事」「苦手な仕事」との向き合い方について語ってくださいました。

「実は自分が苦手と思ってることが向いてるっていう可能性もある。俺、テレビめっちゃ好きやけど、テレビがそんなに得意だなとは思ってなくて。

でも、自分があんま気づいてない良いところをテレビの人たちが見て、呼ぼうって思ってくれたっていうことがあり得るから。『これはやりたくない』とか思っててもやってみる、っていうのは、実は意外に評価されたりすることもあるんじゃないかなと思う。嫌だって思ってすぐ辞めるんじゃなくて、ちょっと我慢してやってみるのも僕はいいんかなと思いますね」

※今回お伝えし切れなかった動画版フルバージョンはYouTube『スタジオパーソル』にて公開中

(文:間宮まさかず)