いよいよ、最悪の事態が起こるべくして起こってしまったようだ。

 ウクライナメディア「キーウ・ポスト」が10月4日、ロシア占領下にあるウクライナ東部ドネツク周辺で前日の3日、ウクライナによるミサイル攻撃によりロシア側兵士20人が死亡、その中に北朝鮮将校6人が含まれていたと報じた。

 報道によれば、死亡したとみられる北朝鮮将校らは今年7月、攻撃や防御などの軍事技術を学ぶためにロシアを訪れていた代表団のうちの数名だとみられ、ロシアのソーシャルメディアは、ミサイル攻撃があった現場はロシア軍の演習場で、大勢の北朝鮮軍関係者が訪れていたと伝えている。外報部記者の話。

「現時点でウクライナ軍はコメントを出していませんが、ウクライナ情報当局は、昨年にはすでに北朝鮮軍所属の工兵部隊がロシア占領地域で活動していると発表しています。また、ドネツクなど占領地域の建設現場で、北朝鮮労働者が実務にあたっていることも事実のようです。そんな状況を受けゼレンスキー大統領は9月の国連安全保障理事会で、『北朝鮮とイランが武器提供を通じてウクライナの人々を殺し、ロシアのプーチン大統領がウクライナの地を盗もうとするのを助けている』と両国を名指しで批判している。遅かれ早かれ、今回のような事態が起こることは想像に難くなかったということです」

 プーチン氏と北朝鮮の金正恩総書記とが、露極東アムール州のボストーチヌイ宇宙基地で会談したのは、昨年9月。そのときすでに、プーチン氏は正恩氏に対し兵力支援も求めたと伝えられる。

「ただ、正恩氏は武器供給は承諾したものの、派兵について態度を明らかにしなかったようなんです。情報筋によれば、中国の顔色を窺ったのが理由の一つ。そしてもう一つ、北朝鮮兵士をウクライナへ派兵することで脱北者が急増するのではないか、との懸念があったからとも言われているんです」(同)

 とはいえ、兵士不足で悩むロシアとしては、なんとしてでも兵士が欲しい。そこで、しびれをきらしたプーチン氏が今年6月、24年ぶりに訪朝。両氏は「どちらか一方が武力侵攻を受け戦争状態になった場合、遅滞なく、保有するすべての手段で軍事的およびその他の援助を提供する」との規定を含む「包括的戦略パートナーシップに関する条約」を締結することになるのだが、

「未確認ながら、実はこの時点ですでに北朝鮮はロシアに対し派兵を行っており、その見返りとしてプーチン訪朝が実現したという情報もある。というのも、北朝鮮は当初、ロシアに対し武器弾薬を提供する際、使えないような古い不良品ばかりを送っていたようなんです。もちろん理由は、北朝鮮自身が有事の際、兵器庫を空になることを恐れたから。ところが、砲弾が不発で砲身の中で爆発するなどロシア兵の中に多数の負傷者が出る騒ぎになり、さすがにプーチン氏も“いい加減にしろよ”となった。実はこれらの不良品をせっせと買いつけていたのがショイグ国防相で、それが解任された最大の理由だったのではないかとも言われています」(同)

 情報筋によれば、結果、“手打ち”の意味もあり北朝鮮がロシアへの派兵を開始したという何とも及び腰な話なのだが、プーチン氏は正恩氏との会談後、訪問先のベトナムで露メディアに対し、北朝鮮からの派兵について「誰にも頼んでいないし、その必要もない」と全面否定している。

 北朝鮮からの派兵が増えれば、当然、北朝鮮兵士の死者や負傷者も増えるはず。いよいよ北朝鮮兵の本格参戦で、ウクライナVS北朝鮮の可能性も出てきたこの戦争、その行方は…。

灯倫太郎

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