マルティン、完璧なレース見せたライバルにお手上げ「ああいう状況で、バニャイヤは”達人”なんだよ」

 プラマックのホルヘ・マルティンは、MotoGP日本GP予選Q2で転倒を喫し11番手で予選を終えたことで、ライバルであるフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)の勝利を阻止することができなかった。

 一方でマルティンは、バニャイヤは日本GPのような状況において達人だとライバルを褒め称えている。

 決勝レースでは11番グリッドから好スタートでポジションを上げたマルティンは、ペドロ・アコスタ(GASGAS)の転倒もあって早々に2番手に。それ以降は首位バニャイヤとマルティンのペースが良く、優勝争いは完全にふたりのマッチレースとなった。

 ふたりの差は一進一退。マルティンが0.6秒差まで詰め寄ったかと思えば、1.5秒まで離れるなど互角の争いだった。しかしバニャイヤが決定的なチャンスを与えず逃げ切りチェッカーを受けた。

 マルティンとしては、スプリントでは全く勝負できず4位、決勝では挽回してバニャイヤを追ったものの2位と、この週末でタイトル争いのリードが21点から10点に縮まってしまったものの、11番手からのスタートだったことを考えれば、ダメージをなんとか抑えてポイントリーダーの座を守った週末だったといえる。

「僕はハッピーだよ。素晴らしいレースができた」

 そうマルティンは週末を振り返った。

「ペッコ(バニャイヤ)に近づけて、トライすることができたんだ」

「でも残り2周のところでフロントタイヤが怖くなったから、リラックスしてポイントのことを考えることにしたんだ」

「ペッコにはおめでとうと言いたい。彼はこういう状況の”マスター”なんだ。でもハッピーだよ。良いレースができた」

 マルティンにとって、レースの鍵は間違いなくスタートだっただろう。スプリントでも5番手まで浮上する好スタートを見せたマルティンは、決勝でも6番手までポジションを上げたのだ。

「スタートは良かったけど、昨日(スプリント)ほどではなかった。かなりリスクを負う必要があったけど、マルク・マルケス(グレシーニ)とエネア・バスティアニーニ(ドゥカティ)を1周目にパスすることができた。ブラッド・ビンダー(KTM)のときはもう少し苦しんだし、タイヤもたくさん使ってしまった」

「11番グリッドからスタートする複雑な状況をセーブすることができた。今日は2位でフィニッシュできるかどうか確信が持てなかった。ペッコを捕まえようとしてタイヤをたくさん使ってしまったし、終盤に彼を攻めようとするには十分ではなかった。最後まで頑張ったけど、これだけポジションを挽回できたのは嬉しいし、今後の自信にもなった」

「奇妙なレースだった。すぐに2番手に上がれたのでバニャイヤとの差を縮めようとしたけど、彼に0.5秒離されたときにフロントタイヤに問題が出て、クールダウンのために少し休んだ。残り10周になったときに再アタックを試みたけど、また近づくたびに問題が出て、転倒のリスクも出てきた。だからフィニッシュしてポイントを持ち帰ることを選んだ」

 マルティンはグリッド中団からスタートし、バニャイヤに対して5ポイントのダメージで済んだのは勝利にも近い意味があると考えている。

「今週末は11番手スタートという大きなチャレンジが待ち受けていた。狂ったように走り出すことで週末を棒に振る可能性もあったし、スタートを決めていいレースを展開する可能性もあった」

「僕は後味が悪い形で去りたくなかったんだ。Q2でのクラッシュは痛かった。ペッコともっと戦えたはずだからね。こうした学びを得て、 次のオーストラリアではもっと上を目指したい」

 表彰式後のインタビューでマルティンは、バニャイヤから最終戦バレンシアGPにポイント差なしで臨めるとしたらどうかと聞かれ「サインするよ」と答えたが、後にそれを撤回した。

「いや、もちろんサインはしていないよ(笑)。たった10ポイントだけど、オーストラリアは好きなサーキットだ。それまで1週間は休むつもりだけど、最終的にはまだ僕がリードしているし、そこに留まらなければならない」