飛距離性能は伸びたが高さは△
最近の7番アイアンは6UTよりもロフトが立ったモデルが多いです
飛び系アイアンのロフトは、7番で26、27度くらい。そして、最近はアベレージモデルのアイアンのロフトも立ってきていて、本誌5月号の「アイアン一気試打」で紹介したアベレージ向けモデルの7番アイアンを調べると、ロフト角の平均は28度以下。かつてのアベレージ向けアイアンの7番のロフト角は30度以上がスタンダードだったので、2度以上立っていることになります。
7番アイアンは落下角度が足りないから止まりにくい!
もちろん、ロフト28度前後のアイアンも打ちやすくなっていて飛びます。練習場では問題なくいい球が打てるでしょう。でも、本番のコースでは、ナイスショットしたはずがグリーンに止まらないことが増えていませんか?
私はフィッティングをしていて、ドライバーでのヘッドスピード42m/秒以下のゴルファーがロフト28度のアイアンで確実に止まる球を打つのは難しい、と思っています。それはロフトが立ったことにより、高さと落下角度が不足気味になったことが原因のひとつなのです。
ロフト29度の7番アイアンでの計測値。
キャリーは160ヤードを超えたが、最高到達点18ヤード、落下角度37度と、グリーンに止めるには高さが不足気味
7番でロフト32度以上のやさしいアイアンは皆無
アベレージ向けアイアンの平均ロフトが28度以下なら「もっとロフトが寝ているアイアンを使えばいいのでは?」と思う人もいるでしょう。もちろん、7番アイアンでロフト32、33度のモデルもあります。しかし、そういうアイアンはマッスルバック系のツアーモデル。やさしいアイアンではありません。
今のアイアン市場で、7番アイアンのロフト32度以上のアベレージ向けモデルは皆無。だからこそ、ハイロフトのUTが必要なのです。
「ロフトが立ったアイアンが上がらないのは、技術の問題ではなくヘッドスピードの問題です」
私もドライバーのヘッドスピードは42m/秒前後です。以前はミドルアイアンだけチタンフェースのポケットキャビティでしたが、今は6番UTを使っています。6番UTだと、アイアンでは止まらなかった180ヤード前後の距離からグリーンに止まる確率が増えました。同じロフトでもUTでは止まるのに、アイアンでは止まらない。そのワケは次で解説します。
いかがでしたか? 弾道データをぜひ参考にしてみてくださいね。
試打・解説=鹿又芳典
●かのまた・よしのり/多くのゴルフメディアで活躍する人気クラブコーディネーター。現役ツアープロのクラブ調整やサポートだけでなく、ジュニアゴルファーの育成にも注力している。
構成=野中真一
写真=相田克己
協力=ジャパンゴルフスクール