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パワハラやおねだりを県幹部から告発され、議会で不信任決議を可決された斎藤元彦前知事が、9月26日に記者会見を開き、失職&出直し知事選への出馬を表明した。

兵庫知事選が10月31日告示、11月17日投開票の日程で行われると決定したが、巷では斎藤氏が失職を選んだ理由、同氏を取り巻く陰謀論が話題を呼び、選挙戦に混乱が生じるとの見方が高まっている。

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不信任決議が可決された斎藤氏にはいくつかの選択肢があった。(1)失職または辞職し政界引退、(2)失職または辞職し再出馬、(3)県議会解散、(4)県議会解散、自らも辞職し再出馬などなど…。

ただ、自動失職する9月29日までに辞職すれば、再選されても任期は1期目の残りの来年7月末まで。しかし、失職して知事選で再選されると、任期はまるまる4年間となる。今回、斎藤氏は失職―知事選出馬の道を選んだ理由はそこにあるわけだ。

「斎藤氏らしい計算し尽くされた究極の選択だ」 

ある政治アナリストは率直な感想を漏らし、こう分析する。

「斎藤氏は一連のパワハラ、おねだり疑惑に対し、今でも自分が不信任案を突き付けられるほどの行為をしたとは微塵も思っていないでしょう。9月26日の記者会見でも『知事給与のカット』『県費節減のため、約700億円の県庁舎新築の見直し』など、自分の実績、手柄のアピールばかりだった。記者会見直前にはテレビへ出演して、同様に自分の手柄を独演していた。この時点で出直し知事選出馬の腹を固めていたはず。テレビジャックし、少しでも知事選を有利に進めたかったのでしょう」

批判もどこ吹く風な斎藤元彦前知事

ちなみに、パワハラやおねだり疑惑を追及された百条委員会では、告発文を作成した県幹部職員に対する斎藤氏や県の対応の不適札さが糾弾されたほど。告発者を公益通報者保護法の対象として守ることをせず、逆に停職3カ月の懲戒処分にし、告発者が自死を選んだことはご存じの通りだが、本人はその批判もどこ吹く風といった感じなのだ。

「斎藤氏は自身のことにしか思考が回らないのでしょう。件の会見でも記者から質問を受けるまで、告発職員のことにはノータッチ。記者に『告発者の方が亡くなったことが、責任としては最も重いのでは』と質されると、ようやく『1人の人が亡くなったっていうことは大変重い事実』としたが、告発者を処分したことは『あの場合は最善の取り方』と反省なし。あきれました」(兵庫県議)

もっとも、失職後の斎藤氏には不可解な現象が起こり始めている。議会ではすべての議員に不信任を突き付けられたものの、徐々に風向きが変わりつつあるというのだ。

政治部記者が嘆息する。

「失職後、フジテレビの『ワイドナショー』に出演した今田耕司が『分からなくなってきた』『もしかしたら、この人は1人で戦っているのかもと思ってしまうぐらい、実績があったり…』などと口にしたが、斎藤氏がハメられたと勘ぐる陰謀論が騒がれだしている。もちろん、一方では『県政を約半年も混乱させたうえ、性懲りもなく出直し選挙に出るとは、兵庫県民550万人への笑えないパワハラ』と豪語する県民もいるため、今後の選挙戦が混乱をきたす可能性が高まっているのです」

稀代のナルシストか、それとも究極の鉄面皮か、県民の審判は11月17日に下される。

「週刊実話」10月17日号より内容を一部変更