独自風洞の稼働開始はまだだけど……アストンマーティンF1、メルセデスの“間借り”を「今季苦戦の言い訳にしてはいけない」

 アストンマーティンでチーム代表を務めるマイク・クラックは、メルセデスの風洞を間借りしている状況が今季のチーム不振の一因である可能性を認めつつも、それを言い訳にしてはならないと語った。

 2023年シーズンは開幕から18戦で7度の表彰台をフェルナンド・アロンソが獲得したアストンマーティンだったが、今季はゼロ。今季最高成績はサウジアラビアGPでアロンソが記録した5位。コンストラクターズランキングは5番手となっている。

 アストンマーティンは、イギリス・シルバーストンの新ファクトリーに併せて新造された独自風洞の稼働開始に向けて準備中。これまでは長年メルセデスの風洞を借りて空力テストを行なってきた。

 風洞を借りていることの妥協点について訊かれたクラック代表は、次のように答えた。

「それは簡単過ぎる言い訳だと思う」

「他のチーム(メルセデス)も同じ風洞を我々より少ない時間使っている。だから、これは言い訳にならない」

 またパフォーマンス不足の要因になり得るのかとの質問に対して、クラック代表は次のように付け加えた。

「その可能性はあるが、それでも我々はそのチームからかなり遅れている。彼らにとって(前進の)要因のひとつかもしれない」

「我々にとって(後退の)要因のひとつかもしれないが、同じ道具を使っているのだから、もっと上手くやれると思う」

 アストンマーティンの新型風洞は、新レギュレーションが導入される2026年マシンの空力テストが許可される2025年1月1日までに稼働を開始する予定だ。

 またインフラ整備に加え、レッドブルから獲得した“空力の鬼才”ことエイドリアン・ニューウェイなどの人材面での強化、そして2026年からはホンダのワークスパワーユニットを獲得するなど、トップチームへと変貌を遂げることが期待されている。

 ただ、モノを揃えるだけでは勝てるチームにはならないとクラック代表は理解している。

「チーム作りの過程では、風洞を置くだけでなく、技術や方法論、テストの進め方を把握している必要がある」とクラック代表は言う。

「シミュレーションも同じだ」

「我々は長年にわたってカスタマーチームであり、これら全てを並行して構築しなければならない。しかし、そう選択したのであれば、それを言い訳にしてはいけない」

「(風洞で)開発しなければいけない部分もあるが、マシンも開発しなければならない。一方を言い訳にしてはいけない」