10・14後楽園大会のGHCヘビー級選手権試合「(王者)清宮海斗vsマサ北宮(挑戦者)」に向けた調印式が8日、都内で開かれた。清宮が若手時代に酷評されたちゃんこ鍋を振る舞う前代未聞の“食レポ調印式”となったものの、北宮は「可もなく不可もない、まるで清宮そのもの」と切り捨てた。
激しく星を奪い合った前哨戦を終え、1週間後の決戦へ調印式。実に7度目のGHCヘビー挑戦となる北宮が「GHCは俺の悲願だ。やっとつかんだ、この心もとないチャンスでも、力ずくで手繰り寄せて、悲願の初戴冠、10月14日、俺は達成する」とシンプルに決意表明したが、王者・清宮は北宮道場長のもとで過ごして若手時代を改めて回想した。
「9年前に自分がNOAHの道場に入った時、その時の道場長が北宮さんでした。当時、会社が明日どうなるか分からない、それぐらいの厳しい状況でしたが、北宮さんが先頭に立って『道場生でNOAHを上げていこう』という話をしたのを覚えてます。それからタッグ(王座)を北宮さんと獲ったこともあったし、その時も他の人とは違ううれしい気持ちがありました。今こうしてGHCのベルトを北宮さんと争うことは自分にとって素直に楽しみです」。
そう語っておもむろに席を立った清宮は、カレーの香り漂うちゃんこ鍋を持ち込むと、「北宮さん、ちゃんこ作ってきました。新弟子だったあのころ、動物のエサみたいだったかもしれませんが、今は違いますよ。食べてみてください」と自家製カレーちゃんこを振る舞い始めた。
というのも、北宮は公式Youtubeチャンネルでのインタビューで、若手時代に清宮が作ったちゃんこ鍋を酷評。「具材の切り方がおでんみたいで、まるで動物のエサのようだった」と振り返っており、王者・清宮が料理でも“成長”を示しにかかった形だ。
律儀に合唱してから口をつけた北宮も、とどこおりなく完食。ところが「清宮、まあまあだな。それなりにうまいよ。可もなく不可もないな。ベストとは言えないが、ベターだよ」と切り出すと、「料理っていうのは、その人の心だと思ってるんです。そもそも人生だと思ってるんですよ。だから今日のちゃんこもまるで清宮を表してるようだよ。それなりにおいしい。あと具材の切り方がよくなったな。だけど唯一無二の刺さるものはないね。あと方向性が分からないな。何がやりたいのか? 何を届けたいのか?」とちゃんこの出来と、清宮のレスラー像を重ね合わせた。
そのまま「なあ、なんべんも言うけど、チャンピオンというのはな…」と“チャンピオン像”への説教へと突入しかけたものの、清宮も血相を変えてマイクを奪い取るや「北宮さん、こっちも何度だって言いますけど、チャンピオン像を語るなら、チャンピオンになってから言ってくださいよ!」と正論で制し北宮とにらみ合った。
清宮はすでに防衛後のALL REBELLION新メンバー投入を予告しており、プロレス界の勢力図を塗り替える“方舟革命”へ道半ば。かつてNOAH道場で同じ釜の飯を食った先輩・後輩。北宮の悲願成就か、清宮の革命続行か。前代未聞の“食レポ調印式”を経て、1週間後の決戦へいよいよ待ったなしとなった。
【会見の模様】
▼北宮「最後にGHCのヘビーのベルトに挑戦したのは、もう2年以上前だ。そんなことすら誰の記憶にも残ってないだろう。何度も言ってるけど、GHCは俺の悲願だ。でも2年もの間、何も結果を出せずに、ただただ指をくわえて見てるだけだったんだ。少しのチャンスも見いだせずに見てるだけだったんだよ。何度も言うが、GHCは俺の悲願だ。やっとつかんだ、この心もとないチャンスでも、力ずくで手繰り寄せて、悲願の初戴冠、10月14日、俺は達成する。どうか心して見て欲しい。以上」
▼清宮「清宮海斗です。9年前に自分がNOAHの道場に入った時、その時の道場長が北宮さんでした。当時、会社が明日どうなるか分からない、それぐらいの厳しい状況でしたが、北宮さんが先頭に立って『道場生でNOAHを上げていこう』という話をしたのを覚えてます。それからタッグ(王座)を北宮さんと獲ったこともあったし、その時も他の人とは違ううれしい気持ちがありました。今こうしてGHCのベルトを北宮さんと争うことは自分にとって素直に楽しみです。ただ、これからのNOAHをもっと大きくしていくためには若い力が必要です。自分が先頭に立って引き上げます。後楽園でベルトを掲げるのは清宮海斗です。そして…(立ち上がってから、しばしして戻ってくると、ちゃんこ鍋を持参)北宮さん、ちゃんこ作ってきました。新弟子だったあのころ、動物のエサみたいだったかもしれませんが、今は違いますよ。食べてみてください」
※清宮がどんぶりによそって差し出すと、受け取った北宮は両手を合わせてから食べ始め、たいらげる
▼北宮「清宮、まあまあだな。それなりにうまいよ。可もなく不可もないな。ベストとは言えないが、ベターだよ。料理っていうのは、その人の心だと思ってるんです。そもそも人生だと思ってるんですよ。だから今日のちゃんこもまるで清宮を表してるようだよ。それなりにおいしい。あと具材の切り方がよくなったな。だけど唯一無二の刺さるものはないね。あと方向性が分からないな。何がやりたいのか? 何を届けたいのか? よく分からないよ。お前みたいだよ。なあ、なんべんも言うけど、チャンピオンというのはな…」
▼清宮「(北宮からマイクを奪い取って)北宮さん、こっちも何度だって言いますけど、チャンピオン像を語るなら、チャンピオンになってから言ってくださいよ! 後楽園で勝つのは俺です。楽しみにしてます」
※北宮が立ち上がって清宮としばしにらみ合う
――なぜちゃんこを作ってきた?
▼清宮「一つ自分の中でトラウマになってる部分があって、若手時代にちゃんこを作った時に、それがうまく作れなくてものすごく怒られて。後々YouTubeで聞いたんですけど、あの時は動物のエサみたいだったと。自分の中ではその時、練習生ながらも気持ちを込めておいしく食べてほしいと思って作ってましたし、ちゃんこ一つとってもしっかりおいしいって言ってもらえるようにと思って今日は作ってきました」
――評価が可もなく不可もなく、突出したものを感じないとのことだが、それについては?
▼清宮「ホントにちゃんこに関してはものすごく弁の立つ相手だなと思いますが、しっかり当日の試合でも見返して、勝って、試合後またおいしいちゃんこを振る舞ってやります」
――タッグのベルトは7回も獲っているが、シングルは獲っていない。今回7度目の挑戦になるが、ベルトへの執念を?
▼北宮「さっき言った通りです」
――前哨戦を終えての感想を?
▼北宮「10月14日を待つのみ」
▼清宮「自分がそれまで思っていた北宮さんとは変わってきたなと。やっぱり怖い北宮さんで来たなと思いましたけど、それで逆に完全に自分も火がついたので、後楽園は問題なく俺が勝ちます」
――GHCとN-1の同時制覇を果たし、不動の中心としてNOAHを引っ張っているが、あらためて革命に向けてどんな試合、どんな勝ち方をしたい?
▼清宮「さっきも言ったように、やっぱり今、NOAHを大きくしていくためには、もっと若い力が必要だと思っていて。当然この試合もNOAHの若い選手、見ると思うんで、そういう選手たちの目を覚まさせるような試合にしたいと思ってます」
――ALL REBELLIONの新メンバー投入を宣言したが、ヒントがあれば?
▼清宮「それは当日を楽しみにしてください」
――9月14日の大岩戦で痛めた左ヒジの状態は?
▼清宮「決して良くはないです。完全に治ってもいないですし、それこそ、この前哨戦の中で攻められてきたので。でも、本当に怪我をしていても今までN-1もタイトルマッチも戦い続けてきたので、そこは全く問題ないです」
――前哨戦で左ヒジを攻めていたが、タイトルマッチでも変わらない?
▼北宮「勝負の鉄則でしょ? 弱ってるとこ攻めるっていうのは」
――今日のちゃんこの味は?
▼清宮「カレーちゃんこです」
――なぜカレーちゃんこを選んだ?
▼清宮「北宮さんの得意な味がカレーだって聞いたんで、カレー作ってきました」