MotoGPは2023年に引き続き今シーズンも、フランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)とホルヘ・マルティン(プラマック)が激しいタイトル争いを繰り広げており、大きなサプライズがなければ最終戦までふたりのバトルが続くだろう。
インドネシアGPまでは、マルク・マルケス(グレシーニ)やエネア・バスティアニーニ(ドゥカティ)がタイトル争いに踏みとどまっていたが、転倒でその可能性はほとんどなくなってしまった。日本GP後の時点で、マルケスはポイントリーダーのマルケスから81ポイント差、バスティアニーニは79ポイント差となっている。
バニャイヤとマルティンの争いは、今季残りの4レースでさらに激化しそうだ。シーズンを通して何度かポイントリーダーの座を入れ替えている彼らは、マルティンの21ポイントリードで日本GPを迎えたが、バニャイヤがスプリント&決勝を制し、その差が10ポイントまで縮まった。
ふたりのタイトル争いで特徴的なのは、ふたりが大なり小なりミスを犯していることだ。バニャイヤはアラゴンGP以降スタートで失敗することが多く、エミリア・ロマーニャGPではスプリントと決勝の双方で出遅れた。一方のマルティンも時折転倒を喫しており、日本GPでは予選Q2で転倒。11番手からのスタートとなり、後手に回った。
バニャイヤはインドネシアで、「今シーズンは”ミスのチャンピオンシップ”のようになっている」とコメント。その一因に進歩したタイヤの影響を挙げた。
ふたりのバトルを分析したマルク・マルケスは、もてぎでは前を走るバニャイヤとマルティンがミスをすることを期待していたと吐露。特に予選での転倒が多くなっている自分も、シーズン終了までにどこかでまた転倒するだろうと予想した。
その理由は、バトルが高いレベルに達しているためであり、カテゴリー全体として競争が激しくなっているとマルケスは説明。そのため、彼自身でさえもミスのひとつやふたつはしてしまうことがあり、それに立ち向かわざるをえないのだという。
「チャンピオンシップを争っているときは、自分の力を最大限に引き出すものだ。彼らは今、そうしている」
そうマルケスは語った。
「彼らはこのカテゴリーの強度を1ポイント上げている。このペースでいけば、またどちらかが失敗すると思う。それか、僕がいつか失敗するだろうね!」
「フィニッシュ出来ないレースもあるだろう。でもタイトル争いにおいて、毎レースミスをせずにこのペースで走り続けるのは難しいよ」
マルケスは、依然としてマルティンがタイトル有力候補だと考えており、必ず挽回するはずだと語った。
「僕の意見はまだ変わっていない。今回のマルティンは11番手からスタートしたんだ。後方からスタートするのがどういうことか、僕にはわかる。何度か経験があるからね」
「でも彼はそれをなんとかした。最初の数周でうまく解決したんだ。でも土曜日にいったように、今のMotoGPは後ろからバトルを始めるのは本当に難しいんだ」
バニャイヤも、自身の師匠であるバレンティーノ・ロッシがホルヘ・ロレンソと長年戦ってきた時代と比較し、ミスが多くなっていることを認めた。一方で、それは精神的にキツイ争いだとも語った。
「彼らはミスも少なかったから、ほとんど常に1位と2位だった。でもそれはストレスがすごいよね。勝っても少ししか差がつかないし、失敗したら多くのポイントを失うんだ」