10月に入り今年最大の値上げラッシュが到来した。ハム・ソーセージ、お菓子、お酒・飲料のほか、郵便料金など約3000品目が値上げし、一時、不足が問題になったコメは出回ってきたものの値上がりが激しい。
そんな中、安定して低価格で「物価の優等生」といわれる「もやし」にも異変が起きている。
9月末、福岡市教委は市立小学校の児童の保護者宛てに「給食に使用するモヤシの調達が困難となったため、使用食材を変更します」との文書を出した。その理由は、もやしを納入していた市内業者の突然の廃業だったという。
「9月18日、市内で唯一、学校給食にもやしを納入している業者から、20日に廃業するとの連絡が入ったそうです。10月の献立はすでに決まっており、市教委は食材の変更で対応。今後は市外の業者からの仕入れを検討しているものの、必要量を確保するメドはまだ立っていないといいます」(女性誌ライター)
長年、もやしの生産や卸しを営んできたこの業者は、資金繰りに窮して廃業に追い込まれたようだが、近年、もやしの生産業者の廃業が後を絶たないという。
「1995年には全国のもやし生産者は550社以上あったのに、現在は何と95社にまで激減しているという。背景にはエネルギー価格に加え、もやしの原料種子である緑豆の輸入価格が3倍以上にまで高騰したこと。さらに市場価格の安さが問題で、総務省調査によれば、30年まで1袋40円だったのが、近年は約30円にまで落ち込んでいる。安値競争が原因ですが、小売との取引でここから値上げするのも難しく、これでは廃業する生産者が増えるのも当然です」(同)
ある程度の値上げは仕方ない状況なのではないか。
(鈴木十朗)