女子プロを襲った“45℃の灼熱地獄”!それでもトップ10に入れたワケとは?

米女子二部・EPSONツアーの最終戦が終わった。今年、LPGA昇格を目指してフル参戦していた馬場咲希は、3日目を終えて2位タイと好位置につけていたが、最終日は−1と伸びなやみ、最終的には8位タイでホールアウト。

年間ポイントランクを18位から上げられず、ランク10位までに与えられるフルシードも、11位〜15位に与えられる限定的シード権も獲得することはできなかった。

残念な結果とは裏腹に、馬場咲希はこの1年で大きく成長した。最終戦でもショットは安定し、馬場咲希らしい大きなゴルフを展開。

12月に開かれるQシリーズに向けて気持ちを切り替えていた。来年はぜひ、古江や渋野らと同じステージに立って戦う姿を見てみたい。

さて、今回最終戦が開かれたのは、カリフォルニア州インディアンウェルズ。ロサンゼルスから2時間ほど内陸へ車を走らせた砂漠地帯。そこに広がるリゾートは緑が眩しいが、元々は岩肌が剥き出しの砂漠地帯とあって、昼間の気温は高い。

そこに、季節外れの熱波が襲っていたため、最高気温は毎日45℃に迫る灼熱地獄と化していた。カートに乗ると、前から来る風がヘアドライヤーの熱風のように熱く、控えめに言っても冷房の室外機の暖かい風が全身に当たっているように感じるような空気だ。

そんな場所に、馬場咲希は試合の前週の月曜から入り、調整を開始。試合まで十日も前に現地入りしていたので、さぞかし練習ラウンドを何度もこなしたこと、と思っていたら、

「18ホールの練習ラウンドを初めてしたのは、初日の二日前の火曜でした。それまでは、まず暑さに慣れることで、1日最高9ホールまでしかラウンドはしませんでした」と、事前調整の内容を明かしてくれた。

湿度は10%と乾燥していて過ごしやすいとはいえ、日なたでは体感温度が50℃を超える危険な暑さ。試合に体力を温存し、気温に慣れることから始めたという馬場咲希の準備が功を奏したからこそ、三日目終了時点で2位タイというプレーができたのだろう。

EPSONツアーの試合はほとんどが3日間大会だが、最終戦だけは4日間。最終日にスコアを伸ばしきれなかったのは、まだ四日目を戦う体力が足りなかったのかもしれない。しかし、ほとんど一人で1年間のアメリカでの転戦生活をこなし、いろいろな意味で成長したのは確か。

この冬から来年にかけて、馬場咲希は更なる活躍が期待できそうだ。

フォトグラファー 田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

取材・写真=田辺安啓 
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE