俳優業以外での収入を得るために『浪子回頭日記』という兼業俳優の赤裸々な日記を連載しているが、まったくゼニにならず、どうしたものかと焦っているマツーラこと松浦祐也が、本気で(?)お宝探しに挑戦中! 一歩ずつお宝に近づいているはずのマツーラ調査隊は次回の最上川捜索の予算をもらおうと編集部に懇願!?

▼前回までの話はこちらから

松浦祐也の埋蔵金への道。第1回「やっぱり、 あるとしか言えねぇ」

2023年12月20日


松浦祐也の埋蔵金への道。第2回「何を言おうとこっちにゃ証拠があるんだわ!」

2023年12月31日


松浦祐也の埋蔵金への道。第3回「ヤられる前にヤルしかねえ」

2024年02月17日


松浦祐也の埋蔵金への道。第4回「アタシの知的好奇心をお満足させるだよ!」

2024年03月03日


松浦祐也の埋蔵金への道。第5回「あまりに寒いとニンゲンは「ギギギッ」ってなるんだゾ!」

2024年05月10日


松浦祐也の埋蔵金への道。第6回「冬の川にゃ入るもんじゃねえし、先人の言う事は聞くもんだ」

2024年06月21日


松浦祐也の埋蔵金への道。第7回「小判はお地蔵様の埋蔵金という噂もあるんだゼ!」

2024年07月03日

捜索予算が無いのでスポンサー募集します。


文・松浦祐也|ライオンズファンのアタシですが、今シーズンは精神衛生上の理由により、試合中継を観ておりません。生活が荒れてしまうからです。ツライ時にこそ応援するのがファンだと重々承知しております。しかし、それでも観れないのです

アタシは2010年製のオンボロマックブック(普段はエックスビデオの視聴専用機)と30分格闘して、ようやくスカイプの招待状を編集長のウエダくんに送った。

「マツーラさん、大赤字っすわ!」開口一番、ウエダ君はそう叫んだ。前回の最上川遠征の予算超過にご立腹な様子。

「小判のコの字も見つからないし、そもそも調査不足だし、今回の遠征はいろいろ大赤字っすわ!」なんだかメッチャお怒りだ。アタシも黙って小難しい顔をしておこう。

「ヤバイっすわ! 夏の最上川遠征、予算ないっすわ!」

ここはウエダ君の不満を聞いて溜飲を下げさせ、なんとか夏の最上川の再遠征費用を出させねばならん。

「ところでマツーラさん、捜索費の領収書の中に『接待交際費』で、1万8千円の飲食費が計上されてますが、コレ、なんすか?」

ああ! 捜索前日にゴーイチ隊員とはしゃいでホルモン屋で飲んだヤツだ。領収書の束に紛れ込ませたのに、バレた。ナマタメ君が冷静に「これは捜索前日なので、自腹で」と言った。

ウエダ君が薄笑いを浮かべながら「あと、『福利厚生費』で1万6千円、コレは何すか?」と、白々しく聞く。うわ! 捜索後にマッサージに行ったヤツもバレた! ナマタメ君が「所沢のタイ古式マッサージ店『ムル』で、120分コースの値段ですが、こちらも払えません」と事務的に言い放つ。アタシのセコイ請求がすべて露見した。

「捜索で腰を痛めちゃって支障があったから」と言い訳を述べ始めたら、ウエダ君が「フザケンナ!」と怒鳴ると同時に、左隣に座るナマタメ君を裏拳でぶん殴った。ナマタメ君の顔がグルンッてマジで1回転して、そのまま画面から消えた。ウエダ君は息を整え、何事もなかったように話す。

「マツーラさん、夏の最上川遠征は資金は、キビチイねー」アタシは、リモート会議でよかった! とホッとしながら「領収書の件は、すんません! でも、次は絶対見つかるんで! もう小判の場所もわかったし、あとは見つけるだけなんで!」と、必死に食い下がる。

あ、ナマタメ君が画面に戻ってきた。また目玉がヒアーとゼアーになってる。あーあ、八重野さんのお宅に行った時もウエダ君に殴られて、最近やっと治ってきたのに。ナマタメ君はどこを見ているか分からない目で説明する。

「つまり次回は本誌の予算だけでは賄えぬので、スポンサーを集めなければなりませぬ」あ、良かった。ちょっと侍言葉になってるけど、日本語は話せるみたいだ。「スポンサーを集めるか、捜索を中止するかでござるます」

そうか、オサレ雑誌の予算とは別に捜索資金を集めるのか。ウエダ君がナマタメ君の頭をナデナデしながら「スポンサーをね、募りましょうか。どなたか資金援助してくれる方います?」と聞いてきた。いや、アタシの友人・知人で金を持っていそうな連中は、皆無だ。もしいたら絶対にアタシが金を借りているし、そもそも映画界で金回りが良さそうな方々とは働くフィールドが違う。

アタシがムムムと困っていると、ウエダ君が大笑いしながらナマタメ君の頭をワシワシする。「貧乏人のマツーラさんにゃ1ミリも期待してねっすよ。ナマ、説明!」

「御意! 今回の夏の遠征時に、捜索隊の隊員服を制作するでござるます。その隊員服にスポンサー枠を作って、広告を入れてもらうでござるます」

なるほど! 隊員服って言ったら聞こえがいいけど、やっすいTシャツ作ってそこに広告を入れてもらうのか。サッカーユニフォームの様に腕部分・2万円とか、胸部分・特大スポンサーロゴ10万円とかって買ってもらうわけね。や、でかしたぞナマ! 八重野さんも仰っていた『金がないなら知恵使え』ってな。ヒアーゼアーの目ん玉でよく考えたな。

ん? でも今回は川に潜っての捜索になるでヤンス。その場合、Tシャツなんか着ないんじゃねえか? ナマ、そこんとこどうなんだ?「心配ご無用! 裸になる場合も、体の各部に油性マジックで直接スポンサーロゴや文言を書けば問題解決にござるます」ほほー、油性マジックで書いちゃうワケね! なかなか野蛮で万人には出ないアイデアでござる。オサレ誌にあるまじき蛮行! でもその野暮さがイイじゃない。

ま、お風呂で自分の姿みて、悲しい気持ちになるやもしれんが。悲しくなるくらいで夏の最上川小判捜索が決行出来るなら、安いモンだわ。ただ、問題はソコじゃねえ。そもそもこんなふざけた連載を読んでくれている人なんかそうそういねえだろう。しかも見つかるか分からん小判を探す、我が『第2お宝ポッポ隊』(隊名もフザケてるな!)に金出そうなんて、そんな酔狂な人は限りなくゼロなんじゃねえか?

不安しかないが、まあ、やってみなきゃなるめえて。さあさ、皆様お立ち会い! 景気良くスポンサー募集しちゃいますぜ! 夏の最上川小判捜索を行う『第2お宝ポッポ隊』の隊員服の宣伝枠を販売させていただきまする! 飲食店の宣伝でも、公開前の映画・舞台の告知でも、個人的なおめでとう文でも、公序良俗に反しない限り何でも来いだ! 小判見つけたら、地方紙の1面に掲載される事間違いなし!

その局地的な宣伝力たるや、想像もできないぞ! ただし、見つけられなかったら許してちょ。詳細は下に記載するので、さあさ、景気良く買ってちょうだいござります!

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A部分 10万円(先着1名)

B部分 5万円(先着2名)

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treasurehuntingclub@gmail.com

 

(出典/「2nd 2024年9月・10月合併号 Vol.207」)