変態たちの巣窟として、今や知る人とぞ知る存在となったハプニングバー。その生みの親、川口敏喜(67)への独占インタビュー。川口さんは近年、来店する女性客に「ある変化」が起こっているという。どういうことか?
ハプニングバーを開いたのは趣味の居場所を作りたかったから
――川口さんのお店は20年以上の歴史の中で摘発されたことがないとのことですが、一度も警察の立ち寄りなどもなかったんですか?
あったよ。5、6回来たことあるんじゃない。でも巡回で来ただけだったし、聞かれたことに答えただけでそれ以上、深追いもされなかったです。私の店ではね、よくわからない人は長く居座れないようにしていたんですね。
――よくわからない人と言いますと?
ハプニングを楽しもうとせず酒も飲まずに一人で鑑賞しているような、どこか怪しい雰囲気の新規男性客ですね。そういうのは内偵である可能性が高い。
そういう雰囲気の男性客がいたら、常連客はすぐ気づいて、遊び始めようとしない。なんなら、遊べる女の子がいたらその怪しい雰囲気の客に対して「あの子と遊べますよ」って勧めたり。
だって、ハプニングに参加できそうなのに参加しようとしない男性客なんて、ハプニングバーにおいては怪しすぎるでしょ。常にそういう客には目を光らせてましたね。
――川口さんだけでなく、常連客も目を光らせたんですね。
ありがたいことにそうですね。それに、常連客は新規の男性客に対しては、彼らが楽しめるようにガイドしたりアドバイスしたりするように心得てくれてました。
だから新規客に恨まれるようなこともなかった。そうやって恨んだ客が通報するパターンは多いから。
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今のハプニングバーは「出会いの場」になっている
――店は去年閉店したとのことですが、それはなぜですか。
最後はお客が来なくなったっていうのもあるし、ハプニングバー業界もお客の取り合いで競争するようなところもあるから、そういうのにも疲れたというのもあるし。
なにより私の仲間が歌舞伎町で店を開いたから、あとは安心だ!みたいな感じですかね。
――今は何をされているのでしょうか。
「Purety」があった場所にメンズエステ店を開いたのと、その他に人材派遣の会社をやっています。
――ハプニングバー業界に対して思うことはありますか。
私がこの変態業界に入った80年代後半は、変態趣味の遊びの場はカップルが性行為や自慰行為を見せ合う「同伴喫茶」で、そこからカップルの彼女を交換する「カップル喫茶」に派生した頃でした。
変態趣味はあくまでカップル単位で楽しむものでしたが、現在は単独男性や単独女性の出会いの場に変わりつつある。そうなると「出会いバー」ではないか、という複雑な思いがありますね。
それに、やっぱり出る杭は打たれるから、儲け主義の店や派手にやりすぎてる店は今後も捕まると思います。
――ハプニングバーが出会いの場になっているとは驚きです。
今のハプニングバーに来ている単独女性の中には、「ハプバーで遊ぶのは浮気じゃない」みたいな感覚の子が多いみたいですね。単独男性は昔から変わらずスケベ心ひとつですけど(笑)。
女の子の感覚は明らかに変わったんでしょう。変態カップルが純粋に刺激を楽しめる場がなくなる、そういう文化がなくなっていることには、どこか寂しさも感じます。
――そんな川口さんは67歳の今も変態趣味を変わらず楽しみ続けているのですか?
いやあ、もういいかなって感じです(笑)。50代くらいまでは彼女もいて乱交パーティを主催したりして楽しんでましたけど、今はもうパーティはしません。
と言いながらも、週に2回くらい女性と“スル機会”はありますけど。ほら「終電なくなっちゃったし、帰るの面倒だから泊まってこうか」ってなること、あるでしょ?
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ハプニングバーを生んだ男は、67歳の今も人生を謳歌していた。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班