花粉症に悩まされる時期といえば、冬の終わりから春にかけてをイメージする人が多いはず。だが、秋が深まってくるこの時期も、くしゃみや鼻水、鼻づまり、また目のかゆみなど、花粉症そっくりの不快な症状を訴える人が増える。これがいわゆる「秋の花粉症」と言われるものだ。スギやヒノキの花粉飛散が原因となる春の花粉症に対し、秋の発症原因は、ブタクサやヨモギ、カナムグラなどの花粉飛散。特に関東や東北では12月頃までブタクサが飛散するため、秋が過ぎても花粉症の症状に悩まされることが多いのだ。

 しかも秋は寒暖差もあり、風邪が流行り始める季節。風邪の症状とアレルギーの症状はよく似ているため、勝手に風邪だと思い込み、薬局で購入した市販薬を服用するも治らず、結果、医師の元を訪ね「花粉症」と診断されるケースも多いようだ。

 ただ、秋の花粉飛散は春のそれに比べ飛散距離が数十メートルと比較的短い。そのため、あらかじめ原因となる雑草の種類を覚えておき近づかなければ、ある程度は防御できるのだが、秋はスポーツやレジャーのシーズン。緑あふれる場所で家族そろってスポーツを楽しんだり、野山に出かけたりと普段以上に雑草に接する機会も増える。そのため、春に花粉症の症状が現れる人は秋にも同様の症状が出やすい。あらかじめ外出時にマスクやメガネを着用し、花粉が体内に侵入することを防ぎ、花粉が付着した手で目をこすったり、鼻の粘膜に触れたりしないよう注意することが必要だ。

 加えて、秋は1年で最もハウスダストが飛び交う時期。ハウスダストとは、屋内にたまるホコリ、つまり室内塵のことで、これにはダニやゴキブリ、カビ、ペットのフケなどが含まれ乾燥する秋はこれらが一気に飛散するというわけだ。ハウスダストはアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎だけでなく、ぜん息やアトピー性皮膚炎を引き起こし悪化させる原因で、これがブタクサやヨモギの花粉と相まって秋には大量飛散するというわけだ。

 秋の花粉症ハウスダスト対策として重要なのは、まずはマスクやメガネ・帽子などで花粉をシャットアウトし、帰宅時には必ず緑茶や紅茶などでうがいする。さらに加湿器や空気洗浄機を用いたり、こまめに水分補給することで喉の刺激を和らげることも大切。 睡眠不足やストレスが症状を悪化させるため、よく眠れる環境を作ることも重要になる。

 スギ花粉症患者の70%が、季節を問わず他の花粉症も発症しているとされる現代。原因となるアレルゲンがどの季節に、どんな場所にあるのかを知り、できる限りアレルゲンを体に入れないように過ごす。そんな環境づくりこそが、秋の花粉症防御のカギを握っていることをお忘れなく。

(健康ライター・浅野祐一

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