女子中高生をはじめとする若者たちの間で、青春の1ページを記録するアイテムとして長年愛されるプリントシール機(プリクラ)。誕生から約30年の間にさまざまな機種も登場したが、近年では男性のみでの利用を禁止する店舗が増えている。SNSでは「男性差別だ」としばしば物議をかもすが……。店舗の狙いと利用者世代である男子の本音を探った。
定期的に議論される“男性のみ禁止”の是非
昨年7月、東京・渋谷のプリクラ機専門店に掲示された「男性のみでの入店・プリ撮影はできません」という注意書きがX上で拡散され、2000万を超えるインプレッションを記録。
「男性差別だ」「防犯上仕方ない」など、賛否の声が交錯する一大議論に発展した。
この騒動は翌8月に生配信されたネット番組『ABEMA Prime』でも取り上げられ、運営会社は番組の取材に対し「男性を差別するという意図はなく、各店舗の周辺環境や男性入店による過去のトラブル実績なども踏まえ、個別に店舗ごとの運営ルールを設定しております」と回答。
これに対し、パックンマックンのパックン、元フィギュアスケーターの安藤美姫らがジェンダー論の観点からコメントするなど、問題の根深さを論じていった。
しかし、こうした“男性のみでの利用お断り”の店舗は、その後もたびたび話題になっている。
今年10月7日にも、同様の措置をとるタイトーステーション・アミュプラザ鹿児島店を南日本新聞社が取り上げ、こちらもSNSで激しい賛否が巻き起こったばかりだ。
これだけの賛否がありながら、いったいなぜ店舗側は男性のみでの利用を禁止するのか。複数の都内ゲームセンターを取材したところ、やはり防犯上の理由であることがわかった。
「ここは駅の反対側にも店舗があって、そちらは男性のみでも撮れるんですが、ウチは禁止させていただいています。理由としては盗撮やナンパ、そういった被害から女性のお客様を守るためです」(都内ゲームセンターAの男性店員)
「過去に他店で『男性から盗撮被害に遭った女性のお客様がいた』という情報を聞いています。当店では、女性に安心してご利用いただくために、防犯上の観点からこのようなルールを設けています」(都内ゲームセンターBの女性店員)
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男性陣の反応は?
ある程度の批判は覚悟の上で、利用客保護の観点から男性のみの利用禁止を取り入れている各店舗。一方、メインの利用者層である若者男子は、こうした措置に不満を感じてはいないのだろうか。
実際にゲームセンター周辺で聞き込みしたところ、彼らは意外にも冷静だった。
「別にそんなに怒るほどじゃないっていうか……。確かに突き詰めたら男性差別なのかもしれないけど、女性が安心して利用するためには許される範囲だと思う」(17歳男子高校生)
「全国の全店舗で禁止なら問題だけど、男OKにしてる近くの別の店に行けばいいだけだから、問題だとは思いません。男性差別だって言うけど、ムキになって反論する男のほうも怖い。『心が女の人まで利用を断ることになる、それこそセクシャルマイノリティ差別だ』とか子どもじみてると思う」(18歳男子高校生)
「差別って言うけど、ちゃんとした理由があれば差別にならないって義務教育で習いますよね……。たとえば映画中にスマホいじっちゃいけないのも、ちゃんとした理由があるからスマホユーザー差別にならないわけだし。怒ってる人ってそれも許せないのかなって」(20歳男子大学生)
しかし、中にはゲームセンター側に憤りを覚える男子も。彼らはみな、男性のみ禁止のルールを“差別的”と捉えているようだ。
「僕も仲間同士でたまにノリで撮ったりするんで、そこで男グループNGとかだと悲しいです。差別的だと思うし、ネットで炎上するのもわかる。
盗撮なんて男だってされるかもしれないから理由にならないじゃないですか。盗撮対策なら他にもやれることあるはずだし」(16歳男子高校生)
冷静な意見から憤り、独自の見解まで、今回の調査ではさまざまな男子の本音が見えた。
一方で、“守られる”対象である女子たちは男性のみでの利用禁止をどう捉えているのか。後編では、女子側の本音と最新のプリ事情について迫っていく。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班