ついにパレスチナのガザ地区に続き、イスラエル軍の地上侵攻が始まったレバノン。首都ベイルートも連日攻撃を受け、1990年まで15年間続いたレバノン内戦を上回る惨状だ。

 レバノンのナジブ・ミカティ首相は会見で、「100万人以上が家を追われた可能性がある」と述べており、国民5人に1人が避難を余儀なくされたことになる。国連難民高等弁務官事務所(UNHCH)によると、9月21日~10月3日までの間に隣国シリアに脱出したのは23万5000人。ただし、こちらは未だ内戦状態にあり、手厚い支援が受けられる状況とは言い難い。

 それでも出国できただけマシとも言え、国内にとどまっている避難民は10月上旬時点で60万人以上。ここで気になるのは、レバノンで逃亡生活中の元日産自動車会長のカルロス・ゴーン氏だ。

 富裕層の多くは、攻撃が本格化する前に脱出。同国唯一の民間空港、ラフィク・ハリリ国際空港はすでに閉鎖しており、その後も船で脱出するセレブが相次いだが、国際手配中のゴーン氏は国に残るしか選択肢がない。

「自宅があるのはベイルート北部の高級住宅街。イスラエルの攻撃を受けているのは街の南部とはいえ、ヒズボラの拠点がこの地域に移れば狙われるのも時間の問題です」(レバノン情勢に詳しいジャーナリスト)

 現地ではすでに民間人に多数の犠牲者が出ており、10月4日にレバノン政府は昨年10月からイスラエルとの戦闘による死者は2000人を超えたと発表。しかも、その大半は9月下旬以降の犠牲者だとしている。

「このうちヒズボラと無関係の民間人がどれだけいるかは定かではありませんが、かなりの人数になるのは間違いない。つまりベイルートにいる限り、常に死と隣り合わせということです」(同)

 ただし、ゴーン氏はすでにベイルートを離れている可能性が高いとの情報もあるとか。

「山間部のスキーリゾートに別荘があり、他にも北部沿岸部にある第二の都市トリポリなどにも別宅を持っているとの情報があります。ただし、トリポリでもイスラエルによる空爆が始まっており、もはやレバノン国内に安全と言える場所がないのが現状です」(同)

 やはり日本から逃亡せずに刑に服しておくべきだったのかもしれない。

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