ハースF1とテクニカルパートナーシップを締結することになったトヨタに、ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長がエール。「お互い切磋琢磨して、頑張っていきましょう」と語った。
2009年を最後にF1から離れていたトヨタ。最近では、平川亮をマクラーレンのリザーブ・ドライバーに就任させるなど、F1との距離が近づいているように見えた。そしてハースF1とのコラボレーションについても、今年の早い段階から度々噂になってきた。
そして10月11日、トヨタが富士で記者会見を行ない、ハースとのテクニカルパートナーシップ締結が発表された。会見にはハースF1の小松礼雄代表も登場し、同チームのマシンも飾られるという力の入れようだった。
そのトヨタのF1への”復帰”について、HRCの渡辺社長に話を聞いた。渡辺社長は、トヨタがF1に戻ってくるのは大歓迎だと語った。
「大歓迎ですよね。参戦の方法は色々あると思いますけど、トヨタという会社がF1という最高峰のレースに、何らかの形で関わるというのは、F1全体も盛り上がるでしょうし、特に日本のファンも喜ぶと思います。ですから大歓迎ですよ」
ホンダは1964年のF1参戦開始以来、人と技術を鍛えることが最大の意義であると語ってきた。トヨタの今回のハースとのパートナーシップも、人材育成を主眼に置いている部分に、ホンダとの共通点を感じると渡辺社長は語る。
「今回の発表の中身を見ると、F1を通じて特に人材育成をやっていきたいということをおっしゃっておられます。それで言うと、我々も60年前(1964年)に初めてF1に参戦した当初から一貫して変わっていないのは、人と技術を鍛えるということです。それについては、今回のトヨタさんの発表と、基本的には通じる話なんだなと思っています」
「F1のような手加減、容赦のない戦いに技術者を挑戦させると、本当に人が育つと思います。辛いことも多いし、嬉しいことも多いですが、そういうことも踏まえて世界一を目指す……世界一になって自信を手にして、それがお客様に買っていただく商品に活きてくる……そういうところがあると思います」
「お互い切磋琢磨して、頑張っていきましょうということですね」
今のF1は、以前のF1と比べて、市販車向けをはじめとした技術開発に役立てやすいモノになりつつあるのか? そう尋ねると、渡辺社長は次のように語った。
「2026年からのF1のレギュレーションでは、特にそうだと思います。我々で言うとeVTOLとか、そういう先進技術を必要とする製品には活きてくると思います。バッテリーEVでも、高性能のスポーツ型のようなモノには、F1で培った技術が活きてくるでしょう」
「でもとにかく一番大事なのは、エンジニアが育つということだと思います」