今季からスーパーフォーミュラに参戦している岩佐歩夢(TEAM MUGEN)も、気がつけば今週末の富士でもう6戦目と7戦目……残り4レースという段階になった。初優勝を手にするべく、岩佐は”抑えに入る”立場ではなく、チャレンジしていくポジションだとして、気を引き締めた。
岩佐はここまでポールポジション1回、2位2回と、参戦1年目ながら速さを見せている。しかしまだ優勝はなく……そろそろ是が非でも”1勝目”が欲しいところだ。かつて欧州のF2を戦い、スーパーフォーミュラをステップにF1へと進んでいったレッドブル系の先輩格のドライバーたち……ピエール・ガスリーや、リアム・ローソンのことを考えれば、最低限チャンピオン争いに加わることが求められる。
「F2の1年目みたいな、そういう感覚を持っています。速さもあって、ポテンシャルもあって、こうしたら勝てるよねというのが見えているのに勝てない状況が続いています」
岩佐はスーパーフォーミュラの富士戦を前に、そう語った。
「それが2戦目から続いています。今何が必要かと言えば、まとめる力。僕たちが101%、102%出さなきゃ勝てないという状況ではなくて、それこそ99%くらい出せば勝てるというタイミングもありました。でも、それをやりきれないない。それが勝てていない原因だと思います」
「自分たちにあるものを出しきれば、間違いなく勝てる。そう思えているというところは、もどかしいですね」
残りは2ラウンド4レース。勝利を手にするチャンスは残り少なくなってきた。この日はスーパーフォーミュラの専有走行が行なわれたが、岩佐は佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)に次ぐ2番手。手応えを得ているようだ。
「今回は前回と比べると、ガラリと変えてチャレンジしにきました。セットアップとしてもです。それが走り出しから体感として悪くなかったし、タイム的にも悪くなかったんです」
しかし岩佐としては、詳しくは語らなかったものの、何かひっかかる部分を感じたという。そしてそれを修正したことでフィーリングがさらに良くなり、前述の2番手タイムを記録することができた。
「いいかな、いいかなと思って進んでいきました。テストアイテムをやったり、微調整をしたりしたんですけど、最後の方に来て、『ん?』とひっかかる部分があったんです。ドライバーとしてもエンジニアとしても、ひっかかる部分がありました」
「その引っかかっていた部分を変えたら、ある程度良い方向に進んで、最後2番手で終えることができました」
しかしこれだけで上位を狙えるとは、岩佐も考えていない。さらにステップアップしなければならないと、岩佐は言う。
「でも、明日に向けてもう1ステップ踏まないと厳しい状況です。それをどこまで詰められるかというところを、これから準備するという感じです」
「明日ひとつ抜け出そうと思うと、自分たちも前進していかないといけません。そこは抑えに入らず……僕の今の立ち位置は抑えに入るポジションじゃないので、チャレンジしていきたいと思います」
ただ岩佐にとっての懸念は予選だ。岩佐は9時からスタートする予選Q1のA組に振り分けられた。Q2に進むとなれば、Q1のB組の走行を挟んで、25分のインターバルが空いてしまうことになる。この間に変化するコンディションにいかに対応できるかが、鍵となるかもしれない。
「僕はQ1のA組なので、Q2にかけてはコンディションの変化がある可能性があります。そこをアジャストするのが、キーポイントかなと思います」