8月のもてぎラウンドでスーパーフォーミュラにデビューしたニック・デ・フリーズ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。10月12日、13日に富士スピードウェイで行なわれる第6戦・第7戦が彼にとって現状最後のレースとなる。
元F1ドライバーであり、フォーミュラEチャンピオン、そしてWEC(世界耐久選手権)の最高峰クラスにも参戦する世界のトップドライバーということで、注目を集めたデ・フリーズの参戦。ただ初戦となった第5戦もてぎでは予選でミスがありQ1敗退、決勝は13位だった。
しかしながらデ・フリーズのレースに取り組む姿勢はチームに感銘を与えており、星野一樹監督はもてぎ戦の前に「ずっと質問の嵐だし、事前準備がすごい」と称賛。本人も予選でQ1敗退に終わった後のインタビューで「チームには『今夜中にレポートを作って全てを洗い出そう。ただ話し合うだけでなく、実際に紙に書き出して改善点を明らかにしよう』と言った」と話すなど、ストイックさの一端をのぞかせた。
もてぎ戦から今回の富士ラウンド前には2ヵ月近いインターバルが空いたが、デ・フリーズは今回もチームと共に入念な準備をしてきたという。
前述の星野監督のコメントを紹介すると、「嬉しいことを言ってくれてありがたいね」と笑顔を見せるナイスガイのデ・フリーズ。彼はこう続けた。
「僕にとっては普通のことなんだ」
「僕たちはこのチャレンジを共にしているし、当然競い合っている訳だから、持っている力の中で出来る限りの結果を残したい。だからこそ、良い結果を残すために全力でやるのは僕にとって自然なことだ」
「もてぎのレースの後、2時間半ほどチームミーティングをした。一回のミーティングで……ということではなく、複数回に分けて、起こったことの振り返りをしたんだ。やり過ぎだとは思っていないけど、自分のドライビングに関することや、マシン同士の比較について、色々と質問したりフィードバックを求めたりした。そうして、自分たちの強みや弱みを特定しようとしたんだ」
「僕はかなりの情報を要求したと思うけど、彼らは素晴らしい仕事をしてくれた。今回はサーキットも違うのでまた違った挑戦になると思うけど、チームは今年既にここでレースをしているし、なんとかパズルを完成させようとしている」
自身にとってコース自体が初体験だったもてぎ戦とは違い、今回の舞台は先月にWECでも走った富士だ。デ・フリーズも、コースに関する知識があることがプラスであることは認めた一方で、シーズン途中のスポット参戦で事前テストもできない状態で結果を出すことは簡単ではないだろうと語った。
「もてぎは正直、サーキットを全く知らなかった。少なくともここはサーキットを知っているので、そうやって何かしらの知見があることはいつだってプラスになる」
「例えば、ここはセクター3がいつもかなり難しくて、デグラデーションもあって、ラップを締めくくるのが難しいと分かっている。少しでもコースの知識があるのはプラスだね」
「少しでも進歩できればと思っているけど、かなり厳しい。こうやって突然乗る中であらゆることを期待するのは簡単なことじゃない」
今回は土曜、日曜で予選・決勝がそれぞれ実施される2レース制フォーマットとなっているが、デ・フリーズは金曜に行なわれた専有走行でトップから1.3秒遅れの17番手であった。