家族って、めんどくさいけど愛おしいーーー。
誰よりも近しい存在だからこそ、ときには感情をあらわにしてぶつかり合ってしまう。本音を言える相手でもあるけど、家族だからこそ変なところで気を遣って我慢してしまうこともありますよね。
今回ご紹介するのは、疎遠になっていた3姉妹が父親を看取るために集まるお話。じんわり優しくて、そこはかとなく切ない1時間44分の会話劇に浸りましょう。
毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。
今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflix映画『喪う(うしなう)』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!
【あらすじ】
ある冬の日。父親の最期に立ち会うために、ニューヨークのアパートに集まったわけあり3姉妹。
長女・ケイティは、しっかりものだけど、気難しいところがあって自分を曲げられない。次女のレイチェルは、マリファナとギャンブルを愛する自由人。末っ子のクリスティーナは、そんなふたりのあいだで板挟みになりがちです。
互いにほぼ共通点がない凸凹姉妹ゆえに、ひとつ屋根の下で暮らしているあいだは争いごとが絶えません。それでも、大好きな父親のために協力しあおうとするのですが……?
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【ココが見どころ!】
<その1:三者三様な3姉妹が魅力的>
ほぼ全編、3姉妹による会話劇で構成されている本作。それぞれどんな性格でどんな身の上なのか、劇中ではハッキリ語られていませんが、映画の冒頭5分を観れば関係性がうっすらわかります。
3人とも、なかなかクセが強いので、人によっては「第一印象=最悪」かもしれません(笑)。けれど、終盤に近づいていくにつれて、3姉妹それぞれが抱えてきた苦労や苦悩が明らかになっていくため、好きにならずにはいられないっ!!
険悪にしか見えない長女と次女の本当の関係性。3姉妹のひとりひとりが、これまでに背負ってきたもの。そのすべてが愛おしくて切なくて、3人まとめて抱きしめたくなっちゃうこと必至です。
<その2:ずっと観ていたくなる会話劇>
誤解を恐れずに言えば、本作は非常に地味な作品です。たいした事件も起きないし、ド派手なアクションも胸がきゅんきゅんするラブ展開もなく、ただひたすらに「現実」が続きます。
しかし、だからこそ、すぐ隣で起きている出来事のように思えるわけです。
知らず知らずのうちに3姉妹に親近感を抱いてしまうし、3人が話す声のトーンや空気感が不思議と心地いい。ぶつかり合うことも多いのに、なぜか「この場所にずっといたい」と思わせる、なんともいえない安心感のようなものを感じるのです。
<その3:クライマックスで涙腺崩壊>
静かに淡々と、父親との日々を過ごしていく3姉妹。しかし終盤になると、物語はある転機を迎えます。
本作は、3姉妹を中心に展開していきますが、終盤には、もうひとりの主役・父親がバラバラだった3姉妹の心をひとつにするのです。
ネタバレになってしまうので多くは語れませんが、家族が迎えたクライマックスは激しく胸を打つものがありました。ラストシーンに映し出される本作の原題『His Three Daughters(彼の3人の娘たち)』もことさら胸に沁みることでしょう。
静かな温かさに包まれる、秋の始まりから冬に鑑賞するのにぴったりの作品です。