48×36mm 22MP ダルサCCD
マミヤZDは48×36mm、2200画素(有効2130万画素)のイメージセンサーを搭載。中判デジタルバックでは実績のあるダルサ製のCCDを採用している。当時の中判センサーは44×33センサー(小)と48×36mmセンサー(大)とで差別化が行われており、マミヤは大型のセンサーを選択したわけだ。
48×36センサーは135判フルサイズセンサーを2枚並べた大きさで、現在主流の中判ミラーレスよりも大きく、一体型のカメラとしては最大という部分にロマンがある。
同じ年に発売されたデジタルバックに、Leaf社の Aptus22(定価399万円)がある。ダルサ製2200万画素センサーを採用しており、センサー自体はマミヤZDと同じものだと考えるのが自然だろう。
Leaf Aptus22はこの連載の第5回で特集しているが、今回のマミヤZDとは大きな違いがある。Aptusが他のデジタルバック同様16bit記録を基本としているのに対し、マミヤZDは12bit記録(14bit読み出しの12bit記録)という点である。現在多くのミラーレスカメラが14bit記録のため、それよりも色情報が少ないということになってしまう。販売価格を下げるためにA/D変換回路まわりでコストダウンを図ったと思われる。
また、業務用の中判デジタルバックは現像処理を前提としており、RAW記録しかできないのが常識なのだが、マミヤZDではJPEG記録が可能だ。このカメラのターゲット層がデジタルバックとは別の方向を向いていたのが分かる。色深度12bitという制限の中で、撮って出しでも使える画質を追求していたのだ。
※作例はすべてRAW現像したもの。
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ローパスフィルター
この時代のデジタルバックを使った人なら分かると思うが、シャープに解像しすぎて強烈な「モアレ」が発生することがある。アパレル系や着物、ドレスの撮影では致命的にもなり得る、中判デジタルの大きな欠点でもあった。
その点、営業写真館等をターゲットにしたマミヤZDでは対策がなされ、オプションで「ローパスフィルター(約20万円)」を用意し、標準装備の「IRカットフィルター」から自身で交換できる仕組みを取っている。ローパスフィルターの装着でダルサCCD特有の解像感は損なわれてしまうが、モアレは抑えられるという訳である(現在では現像ソフトの進化もあり、以前よりモアレ制御が容易になっている)。
筆者がマミヤZDを使うのはこれが2台目になるのだが、今回お借りした個体にはローパスフィルターが装着されており、以前使った個体と比べると幾分甘い写りとなっている。旧タイプのAFレンズでは描写が崩れてしまいがちなため、デジタル対応のDレンズを主に使用した。
ちなみに、後年に発売されたリーフシャッター搭載のシュナイダーLSレンズ群は、マミヤZDでは動作しない。リーフシャッターが使えないだけでなく、レンズ自体を認識しないので注意してほしい。