スーパーフォーミュラの2024年シーズン最終ラウンドとなる鈴鹿戦の際に、AI自律運転マシンによるレース”A2RL”のデモランが行なわれる。自律走行車両とダニール・クビアトがドライブするマシンが、鈴鹿のコース上で相対することになるわけだが、一体どんな走行にになるのか、注目が集まる。
A2RLは今年から始まった自律運転のレースシリーズで、アブダビを拠点にしている。使われているのは、エンジンこそ異なるものの、スーパーフォーミュラと同じSF23まさにそのものである。
このA2RLのレースは、今年の4月に初めてのレースイベントが行なわれたばかり。その時には4台の自律走行車両が同時にアブダビのヤス・マリーナ・サーキットでレースを繰り広げる……という決勝レースのフォーマットが用意されたが、他車の動きに応じてストップしてしまったり、不自然なスピンをしたりと、人間対人間のレースのようにはならなかった。アタックラップでも、クビアトがドライブするマシンと同等のペースを発揮することはできなかった。
そんなマシンがいきなり難コースの鈴鹿サーキットにやってきて、2台でバトルを繰り広げる(※1日は自律走行マシン対自律走行マシンの走行。もう1日はクビアトvs自律走行マシンとなる)。そんなことが可能なのだろうか?
スーパーフォーミュラを運営する日本レースプロモーション(JRP)の上野禎久社長は、次のように説明する。
「まだテスト段階ですから、どのくらいのペースで走るのか分かりません」
上野社長はそう語った。
「ヤス・マリーナ・サーキットを走った時には、(人間がドライブするマシンと比べて)10〜15秒落ちのペースで走っていました。鈴鹿はコンディションが難しいですし、タイトなコースですので、どうなるか分かりません。おそらく、10〜20秒落ちくらいのペースで走行するのではないかと思います」
上野社長はまた、アブダビの時から、自律走行の技術が格段に進歩していることを期待していると語った。
「細かい情報は入っていません。でも4月のアブダビ大会の半年前の試走で見た状況からすれば、相当にクオリティが上がっていました。ですので、鈴鹿にやってくる時には相当進んでいるのではなかろうかという予想をしています」
なおA2RLのレースイベントは、現時点では年1回アブダビでの開催のみとなっているが、今後アジアやヨーロッパでの開催も目指したいとしている。
今回の鈴鹿でのデモランは、その足がかりとなるのか? そう尋ねると、上野社長は次のように語った。
「可能性はあると思います。ただ、私は彼らの立場にいるわけではないので……」
「とはいえ彼らとしても、このレースをグローバルで展開したいというような考え方があります。そういう中では日本という場所が、すごく大きな価値を持っているということは、常日頃仰っていますね」