日本有数の観光地、京都。国内外から毎日たくさんの人がやって来る。人の行き来が盛んであるから、もちろん土産物も充実。ありすぎて何を買ってよいかわからないくらいだ。
先日ふと立ち寄った「nikiniki」というお店では、生菓子と洋菓子が置いてあった。生菓子は和の雰囲気、そして干菓子は洋の雰囲気だ。
京都らしさがあるようなないような感じがしたので、はじめはスルーしかけた。がしかし、なんと正体は京都土産の定番中の定番、八ッ橋らしい。そうなれば話は変わると、購入してみることにした次第である。
・聖護院八ッ橋総本店の別ブランド
京都土産は数あれど、八ッ橋はその代表格と言っても過言ではないだろう。少なくともはじめて京都に来た時には、ひとつくらい買って帰るに違いない。
さまざまな八ッ橋屋さんがあるが、件の「nikiniki」を展開するのは聖護院八ッ橋総本店だ。300年以上にわたり八ッ橋を作り続ける老舗である。
同店と言えば赤と青の輪っかのロゴなイメージがあったのですぐには結びつかなかったが、まさか別ブランドがあったとは。nikiはニッキからきているのだろうか。
一部の商品はオンラインでも購入可能だが、店舗にしか置いてないものもある。八坂神社から少し行ったところ(京都市下京区四条西木屋町北西角)と、京都駅(京都駅八条口1F 京都おもてなし小路内)と実店舗はふたつ。今回は京都駅にお邪魔してみた。
生菓子はカレ・ド・カネール(税込110円~)という、生八ッ橋と中に入れる餡やコンフィなどを自由に組み合わせて楽しむ商品と、季節限定商品とあるようだ。
迷ったが、季節限定(324円)のものがより八ッ橋っぽくなく、また可愛かったのでそちらを3点購入。
干菓子はオンブル(1188円)という煎餅とクッキーの間のような見た目の商品と、カネール(1188円)というヨックモックのシガールみたいなものとを買ってみた。
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・京都らしさを感じる
まずは干菓子。オンブルを開けてみると季節によって(現在10月)形が変わるのか、ハロウィン仕様。オバケやカボチャっぽい形にくりぬかれている。
香りからして八ッ橋そのものなのだが、驚くのはその薄さだ。力を入れて持つと割れてしまうほどに、うすーく生地が伸ばされている。食べると軽やかで、何枚でもいけてしまう。味はもちろんあの八ッ橋だ。
なんでも、聖護院八ッ橋総本店で古くから特別な時にのみ作っていたお茶会用の干菓子を作り直したものらしい。個人的には普通の分厚い八ッ橋より好みだ。
カネールは薄く焼いた八ッ橋をくるくると丸めたものとのこと。シナモンとコーヒー味の2種入っていて、サクッと食べやすい。ウイスキーなどにも合いそうだ。
こちらはその昔八ッ橋総本店がプロデュースしていたカフェで、アイスクリームに合わせて出すように開発されたものという。これまた安定の美味しさである。
そして気になるのは、季節限定の生菓子。和菓子っぽくはあるが、まさか素材が生八ッ橋だなんて、なかなか初見でわかる人はいないのではないだろうか。
こちらもまたハロウィン仕様で、オバケと黒猫、カボチャと魔女がモチーフになっている。賞味期限は当日中なので自分用か、近場で暮らす人への手土産向けだ。
持って帰り食後のオヤツにいただくとしよう。皿に盛ると、生八ッ橋でこんな表現もできるんだなと驚く。可愛くて食べるのがもったいないが、そうも言っていられない。
思い切って半分に切ると、中にはこしあん、もしくは白あんが入っていた。まわりの皮は馴染み深い生八ッ橋の味で「本当に八ッ橋だった……」と衝撃を受ける。
ひとつでかなりの食べ応えがあるため、満足度も高い。しかも繰り返すようにビジュアルが良い。京都土産の定番でありながら、定番っぽくないところがさらに良い。
それ以上の進化はないような、完成された八ッ橋という商品から、まだこんなにも可能性を引き出しているところに京都らしさも感じる。上記の通り早く食べなければならないところが難点だが、その難点を上回る楽しい商品だと感じた。
京都土産に少しひねりが欲しいと思っている人にはぴったり。候補の一つに入れてみてはいかがだろう。