岩佐歩夢今季3回目の2位……またも優勝に届かず「ペースはなかったんですが、戦略でカバーできました」

 富士スピードウェイを舞台に行なわれたスーパーフォーミュラ第6戦。岩佐歩夢(TEAM MUGEN)は2位でフィニッシュした。一時は首位を走るシーンもあった岩佐だが、結局VANTELIN TEAM TOM’Sの坪井翔に抜かれ、スーパーフォーミュラでの初優勝を今回も逃すことになった。

 ただ岩佐は、マシンのパフォーマンスには満足できていないようで、明日の第7戦に向けてさらにステップアップしなければいけないとレース後に語った。

 3番グリッドからスタートに臨んだ岩佐は、すぐ前の福住仁嶺(Kids com Team KCMG)が蹴り出しがうまくいかない中好ダッシュを決め、一気に先頭に浮上。レースをリードした。

 しかしチームメイトの野尻智紀に抜かれ、さらに坪井にも抜かれて3番手に落ち、レース前半を走った。その状況を打破する意味でも、岩佐はタイヤ交換義務を消化できる最小周回数の10周を終えた段階で真っ先にピットに飛び込み、残りの31周を粘り切る戦略を採った。

 結果として坪井には抜かれてしまったものの、最後は小林可夢偉(Kids com Team KCMG)の猛追を凌ぎ切り、2位でフィニッシュ。またも勝てはしなかったものの、今季3回目の2位フィニッシュを果たした。

「全体を通してみると、正直ペースがなくて厳しいレースでした。それをスタートやストラテジーなど、様々な面でカバーできた結果なのかなと思います。とはいえスタートも、完璧ではなかったんですけどね」

 岩佐はレース後のトップ3記者会見でそう語った。

「正直に言ってこの結果は、僕らが現状持っているポテンシャルとしては良い結果だと思います。ただ、明日勝利を狙いに行くのであれば、正直今のままでは全く通用しないという感覚も持っています」

「この後明日に向けて、ワンステップ、2ステップ踏んでいかなければいけない状況かなと思っています」

「予選も決して良くなかったですし、決勝も戦略でカバーしただけであって、ペースは本当にない状態でした。タイヤマネジメントとか、タイヤがタレやすいとかそういう問題じゃなくて、単純に全体的なパフォーマンスが劣っている印象でした。大きなステップを踏めるかどうかは難しいですが、全体的なポテンシャルを底上げしていかないといけない状況かなと感じています」

 岩佐曰く、真っ先にピットに飛び込む戦略は、チーム側の判断に任せた結果だという。それも含め、タイトルを狙うためには、すべての部分で持てるパフォーマンスを最大限に発揮する必要があると、岩佐は言う。

「戦略のタイミングに関しては、ドライバーももちろんそうですが、エンジニアの方が状況は把握できていると思ったので、チームに任せたような状況です」

「あの段階では、ペースが良いか悪いかというのはハッキリしていなかったんですが、悪くはないだろうというところで、前の2台と違う選択をしました。それが、結果的に良い方向にいったんだと思います」

「僕たちが今しなきゃいけないことは、常に頂点を目指しながら、自分たちが持っているパフォーマンス、ポテンシャルというのを常に最大限に引き出し、結果を出しにいくことです。チャンピオンなり、ポジションを上げる上では、しっかりと優勝を狙っていかなければいけません。特に2戦目以降、そのポテンシャルを発揮しきれないというレースがずっと続いていました。今日のようなパフォーマンスをしっかり出していければ、上位、優勝も狙っていけると思います」

 なお岩佐は、金曜日のフリー走行でも2番手を記録しながら、土曜日に上位を目指すためには「一歩ステップアップする必要がある」と言っていた。しかし土曜日も、日曜日に向けて「ステップアップが必要」という……一体どんな状況かと尋ねると、岩佐は次のように説明した。

「全体的なパフォーマンスで言えば、上げきれなかったというのが正直なところです。ただ、内容は結構違います」

「昨日までは、トップスピードがかなり遅かったんです。そこを改善するために色々とトライしたんですが、今日も得に予選では、トップスピードがそんなに速くありませんでした。決勝に向けてそのトップスピードを稼ぐようなアプローチをして、それは良い方向にいったんですが、その分逆に別のところにネガティブな要素が出てしまった。プラスマイナス”ゼロ”になってしまったんです」

「それをしっかりとプラスに持っていけるようにしなければいけないというのが、今のひとつの課題かなと思います」