富士スピードウェイで行なわれたスーパーフォーミュラ第6戦では、Kids com Team KCMGが躍動。小林可夢偉が3位、福住仁嶺が5位に入った。2020年から2台体制を敷く同チームだが、2台揃ってトップ5に食い込んだのは2020年の鈴鹿戦以来2度目だ。
とはいえKCMGは、7月の富士戦でも好調ぶりを見せており、福住がポールポジションを獲得した。しかし福住はピット作業でのロスにも泣かされ4位。小林もパフォーマンスに手応えがありながらも、フロントウイングにダメージがあったことで思うように走れず8位に終わった。もしピット作業がうまくいっていれば……ウイングにダメージがなければ……そういう“タラレバ”を考えてしまうレースだった。
そして今回の富士戦も、福住、小林共に“タラレバ”を感じざるを得ない、ある意味惜しいレースとなった。
予選では福住がまたもポールポジションをゲット。しかしスタートでポジションを落とすと、コカ・コーラコーナーで太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)のリヤにヒットし、フロントウイングの右翼端版を落としてしまった。
ダウンフォースを失い、旋回性能が落ちてしまった状態で上位陣に食らいつき、5位でフィニッシュした福住。ダメージがなければ勝てるポテンシャルがあったかについては「実際分からない」としつつも、こう語った。
「逆にあの状態でも、あれだけ走れるんだと思いました」
「特に(ダウンフォースの減少により)フロントタイヤに対するダメージは大きかっただろうし、本来のパフォーマンスで走れている感覚ではなかったですから。そこは後悔しているというか、もったいなかった部分ではあるので、そこは反省してまた頑張りたいです」
一方、観る者を驚かせたのが小林。11番手からのスタートとなったが、早めのピットストップを選択した後、抜群のレースペースでライバルに追い付いていき、野尻智紀(TEAM MUGEN)らタイトルコンテンダーを攻略。最終的には坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)に次ぐ3位でフィニッシュした。
トップとの差は4.8秒。予選でのポジションがもう少し良ければ、優勝も狙えたかもしれない……そんな走りだっただけに予選が悔やまれるが、小林は苦戦した理由が分かっていないという。
「こればっかりは謎で。Q1のタイム自体は『こんなものか』というタイムで、仁嶺も同じようなタイムでしたが、僕がQ2でコンマ1秒上がった中で仁嶺がコンマ8秒上げていて、見えないタイムを出していました」
「仁嶺もどうやって上がったか分からないとのことで、ミラクルが起こった予選でした」
小林のスーパーフォーミュラでの表彰台は、2019年のもてぎ戦以来、実に5年ぶり。「5年前と言われると心に刺さるので、言われたくない部分もありますが……それが現実ですからね」と苦笑する小林は、100%満足できる結果ではなかったとしつつも、関係者やファンへの感謝を述べた。
「本当に感謝したいです。ファンの方も、なかなか結果が出ない中ずっと応援してくれましたから」
「チームの方にも頑張っていただいていたのですが、結果に繋がらない期間が長かったです。本来はもっと上を目指したいし、早く勝ちたいという思いがありますが、まずは表彰台に乗れたことに対して、チーム、スポンサー、ファンの皆さんに感謝したいです」
多くのファンが待望する、小林のスーパーフォーミュラ初優勝。翌日も富士で第7戦が行なわれるが、予選順位が良ければ勝てるという手応えはあるかと問うと、小林はこう語った。
「レースをしている限りは誰しも勝ちたいですし、チームと勝つために何が出来るか常に考えています。予選が前に行ければ、その可能性は高くなるんじゃないかと思います」
10月13日(日)の第7戦、小林とチームのスーパーフォーミュラ初優勝、福住のトヨタ移籍後初優勝がかかっている。再注目チームはKCMGと言えるだろう。