ここまで苦戦が続いてきたVANTELIN TEAM TOM’Sの笹原右京には、トンネルの先に少しではあるものの、光明が見出せているようだ。ただ、決勝のパフォーマンスには、依然として問題を抱えている。
笹原は昨シーズン途中からトムスのドライバーとしてスーパーフォーミュラに参戦。かつてTEAM MUGEN時代には2勝（2022年）を挙げるなどトップコンテンダーのひとりだったが、トムス移籍後はすべてふた桁順……何をやっても状況が好転しないと嘆いていた。
しかし富士スピードウェイで行なわれた2024年のスーパーフォーミュラ第6戦では、予選でQ2に進出。決勝でも入賞争いを繰り広げた結果、12位に入った。
「トムスに入ってから、やっと何か『その感覚が来たっ！』という感じです」
そう笹原は語った。
「予選Q1はA組だったんですけど、ホンダ勢のみんながすごく速かった。でも、僕らのマシンもすごく速くなって、簡単に言うと曲がりやすくなりました。以前はアンダーステアが酷くてどうにもならなかったんですけど、それが変わってくれた。トヨタ勢の中ではQ1のA組のトップになることができました」
「久しぶりにAコーナー（コカ・コーラ・コーナー）とか100Rは、気持ちよく走れましたよ。これまでは、富士ってこんなに狭かったかなぁ……そう思うくらいだったんです。勝手に四脱してしまいそうでした。でもそれが、ちょっと目が覚めるくらい『きたっ！』という感じでした」
「ただQ2ではBコーナーでシフトダウンできなかったことがあって……ギヤボックスなのか何なのか分からないですけど、こういうことがたまにあるんですよね」
「Q2でポールを獲れるだけのポテンシャルはなかったと思いますけどね。ストレートスピードは伸びていなかったし」
笹原曰く、マシンを曲がりやすいモノにするため、ダウンフォースをつけたことで、最高速が低下したわけではないという。
「いや、ダウンフォースを変えたわけではありません。メカニカルのバランスで、少し変えたんです。それは自分としても辻褄が合って、ひとつ自信になりました。でもレースでは、タイヤがピークにはありませんし、もたないし……スタートしたら前の集団が速すぎて、低め安定という感じでした」
「今も起きている現象は、夏の富士の時と一緒なんです。でも涼しくなった分、低め安定ながら走れているというだけで……日が出ていたり、暑かったりしたら、もっと酷くタイヤがタレていたんじゃないかと思います」
「決勝に関しては根本的に変わっている印象はないので、それについては考え方も含めて見直すべきところがたくさんあると思います」
