F1復帰を目指しているミック・シューマッハーは、2026年からアウディのワークスチームとなるザウバーの来季ドライバー候補に名前が挙がっているようだ。
シューマッハーは2021年にハースからF1デビューを果たしたが、翌2022年限りでシートを失い、2023年からはメルセデスF1のリザーブドライバーを務めている。それと並行し、今季からはアルピーヌのドライバーとしてWEC(世界耐久選手権)ハイパーカークラスに参戦している。
シューマッハーがアルピーヌからF1復帰する可能性もあるかと思われたが、チームはピエール・ガスリーのチームメイトにジャック・ドゥーハンをF2から昇格させることを選んだ。
メルセデスもルーキーのアンドレア・キミ・アントネッリをジョージ・ラッセルのチームメイトに据えたため、シューマッハーの来季F1復帰の可能性はほとんどなくなったように見えた。しかしアウディのCOO(最高執行責任者)兼CTO(最高技術責任者)に就任したマッティア・ビノットは、シューマッハーをザウバーの来季ドライバー候補に挙げているようだ。
ザウバーは、ニコ・ヒュルケンベルグのチームメイト探しを続けており、これまでは現職のバルテリ・ボッタスかF2のポイントリーダーであるガブリエル・ボルトレトのどちらかを選ぶと見られていた。
イタリア紙『コリエーレ・デラ・セラ』のインタビューに応じたビノットは、チームが何をしたいのかまだ定まっておらず、すぐに決断しなければならないとは感じていないと語った。
「すでに他のチームはメンバーを決めているのだから、急ぐ必要はない」
「選択肢はふたつある。ひとつは成長の道を歩むための経験あるドライバー。もうひとつはトップへの道を一緒に歩んでくれる若くて才能のあるドライバーだ」
ビノットがフェラーリのチーム代表を務めていた頃、シューマッハーはフェラーリの育成ドライバーだった。ビノットはシューマッハーについて具体的に尋ねられ、次のように答えた。
「我々は間違いなく彼を評価している」
「私は彼に会って話をした。彼はフェラーリ・ドライバー・アカデミーの一員だったこともあり、長い付き合いだ。彼の長所も強みも知っている。彼は我々が考えている候補のひとりだ」
ビノットは、アウディのプロジェクトは結実までに長い時間がかかる大きな挑戦であるため、長期的な視点が重要だと言う。
「我々はまだ登り始めたところだ。目の前にはエベレストがあって、今はベースキャンプが見えたところなんだ」
「我々はどちらから登るか決めているところだが、道筋をつけることが重要だ。対戦相手と比較すると、我々の方が400人ほど少ない。同じレベルで戦えるようにするためには、その人数を増やす必要がある。我々の選択は若い人たちに投資することだ」
アウディがF1で勝者になるためにどの程度の時間がかかると想定しているかと聞かれ、ビノットは次のように答えた。
「他のチームはトップになるまでに何年もかかっている」
「トッド(ジャン・トッド)がフェラーリに加入したのは1993年で、最初のコンストラクターズタイトルは1999年だった。メルセデスも同様だ。5年から7年はかかるだろう。2030年には戦えるようになると期待している」