今季、TOYOTA GAZOO Racing WRTから世界ラリー選手権(WRC)にレギュラー参戦している勝田貴元だが、前戦ラリー・チリではラインアップから外れた。 ドイツ、チェコ、オーストリアのヨーロッパ3ヵ国で開催されるセントラル・ヨーロピアン・ラリーでは、決意を新たに復帰する形となる。
マニュファクチャラーズタイトル防衛を目指し、現在首位のヒョンデを追っているトヨタ。チリでは何としてもポイント差を縮めるべく、成績が振るわなかった勝田をラインアップから外すことを決定。エルフィン・エバンスに加え、今季はマシンをシェアすることが多かったセバスチャン・オジエとカッレ・ロバンペラをマニュファクチャラーズ選手権対象のエントリーとした。
結果として、ラリー・チリではロバンペラが総合優勝し、エバンスが2位。ヒョンデのリードは35ポイントから17ポイントまで縮まった。
1戦休んでリセットした形でWRC復帰する勝田は、トリッキーなアスファルトステージが続くセントラル・ヨーロピアン・ラリーを前に、「今年最後のふたつのラリーで、クルマに戻ってまったく違う路面を走るのが楽しみです」と語った。
「アスファルトでのドライビングは本当に好きなので、良いフィーリングを見つけて良いパフォーマンスを発揮したいです」
「セントラル・ヨーロピアン・ラリーは、路面の変化や路面の汚れなど、誰にとっても大きなチャレンジです。昨年の金曜日は雨に見舞われて、路面のひび割れもあって特に難しかったです」
「その経験があれば、今年はもっと楽に戻れるはずです。しかし、まだ新しいステージがたくさんあるので、良いペースノートを作ることと、ノートクルーとうまくコミュニケーションを取ることに集中する必要があります」
「我慢強く、チームのためにポイントを稼ごうと思います。すべてが上手く行けば、最終戦のラリー・ジャパンでよりプッシュしやすくなるでしょう」
トヨタのチーム代表であるヤリ-マティ・ラトバラはラリー・チリで、この厳しい決断を下されたドライバーの心境に慮りつつも、勝田がより強くなって戻ってくることを確信していると語った。
またラトバラは、勝田が改善する余地のある部分として、ペースノートの改善を挙げた。
「彼とは何度か電話で話したが、もちろん、彼はチリに来てドライブをしたかったのだから、決して良い状況ではない」
「しかし数日後、彼はそれについて考え、状況を理解し、より強くなって戻ってくるために努力し、自分を向上させようとしていた」
「ドライバーにとっては、最初それ(欠場)は決して良いことではないと考えるだろう。でも復帰したときに、それが良いことだったと気づくこともある」
「過去、他のドライバーもそうだった。アドリアン・フルモーがいい例だし、過去にはオット・タナクやエルフィン・エバンスもそうだった」
「まず、彼にはラリーから離れてほしかったんだ。そして、コ・ドライバーと協力してノートを改善するよう求めた。というのも、ギリシャではメモに情報が多すぎることに気づいたからだ。情報に耳を傾けすぎて、ドライビングや路面に集中できなくなる」
来週のセントラル・ヨーロピアン・ラリーに向けて、ラトバラは次のように付け加えた。
「ラリー・ジャパンに向けて、しっかりとしたラリーをしてポイントを獲得し、マシンのフィーリングを良くすることが目標だ」