10月13日、富士スピードウェイでスーパーフォーミュラ第7戦の決勝レースが行なわれた。優勝を飾ったのは坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)で、今季3勝目となった。そのすべてが、富士スピードウェイでの勝利である。
今大会は第6戦・第7戦を土日でそれぞれ開催する2レースフォーマットであり、土曜日の第6戦では坪井が勝利を飾ってポイントリーダーの野尻智紀(TEAM MUGEN)との点差を0.5まで縮めた。
その坪井は13日朝の第7戦予選でポールポジションを獲得。野尻も2番手につけたが、予選ポイントの関係でこの時点で坪井がランキング首位となった。3番グリッドは福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、4番グリッドにはランキング3番手の牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がつけた。一方でランキング4番手の岩佐歩夢(TEAM MUGEN)はトラックリミット違反によるタイム抹消で12番手に沈んだ。
気温25℃、路面温度35℃というコンディションで14時40分にレーススタート。坪井がトップで1コーナーを抜ける中、4番グリッドの牧野が2番手に浮上し、野尻、福住と続いた。
後続では2周目にアクシデントが発生。ダンロップコーナーで木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)に押される形となった三宅淳詞(ThreeBond Racing)がスピンして再始動できず、セーフティカー出動となった。なお、木村にはドライブスルーペナルティが出された。
レースは7周目に再開。福住は野尻を攻略して3番手に上がると、10周目には牧野も攻略して2番手に。トップ坪井を追いかける態勢に入った。タイヤ交換義務の消化が可能となる10周終了時には、牧野、野尻らがピットストップを行なった。
そんな中、12周目の1コーナーで国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と接触した大嶋和也(docomo business ROOKIE)がスピンしてストップ。その直後に福住がピットインしたが、セーフティカーが出されることに。これによりトップの坪井を含め、ピットインしていなかった全てのマシンがピットレーンに滑り込んだ。
坪井、福住、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、牧野、野尻のオーダーで17周目にレースが再開した。佐藤は18周目の1コーナーで福住を抜いて一度は2番手に上がったが、翌周に福住に抜き返され、その先のコカ・コーラコーナーでオーバーラン。その後は牧野にも交わされ4番手に落ちた。
2度目のリスタートまでに全車がピットストップを済ませたため、ここからはコース上でのバトルに。トップ坪井と2番手福住との差は1.5秒ほどで推移していき、その3秒ほど後方では3番手牧野と4番手佐藤が1秒前後のギャップで連なっていた。野尻はややペースに苦しみ、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、岩佐、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)にも交わされ、残り10周で8番手まで落ちてしまった。
坪井に離されることなく肉薄していた福住がその差を縮め、臨戦態勢に入ろうとしていた残り9周、中団でバトルを繰り広げていた阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)と山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)が接触。突然の電源シャットダウンにより1コーナー立ち上がりで失速した阪口に、後ろの山本が追突してしまった格好だ。
山本のマシンは接触により一度マシンが宙を浮いて着地。昨年のスーパーGTでの事故で首に大怪我を負った山本だが、落下の際に強い衝撃があったことから無線で首の痛みを訴えており、メディカルによって救出された後、担架に乗せられ救急車で搬送された。
セーフティカーが出された後、レースは残り3周で再開。坪井は福住を寄せ付けずトップチェッカー。今季富士で行なわれた3レース全てで勝利を飾るという快挙を達成した。2位はKCMGを初優勝の一歩手前まで導いた福住、3位は牧野だった。
ポイントランキングでは、3勝目を挙げた坪井が86.5ポイントで大量リードを確保。牧野が72ポイントで2番手、大苦戦の野尻は7位(9番手フィニッシュも後述のペナルティ裁定で繰り上がり)で4ポイントしか積み上げられず、70ポイントのランキング3番手に転落した。
なお、レース終了直後の時点ではいくつかの接触検証が「レース後審議」の状態となっていたが、その結果4番手フィニッシュの佐藤、8番手フィニッシュのデ・フリーズにタイムペナルティが出され、ふたりはそれぞれポイント圏外に落ちてしまった。
また山本の状況について、レース直後にチームに確認したところ、現状は様子見で安静にしているとのこと。今後検査などを行なうことも予想されるが、現状はシリアスな状況にはなっていなさそうだ。