アントネッリ、スパでの旧車テストがF1デビューの鍵に。弱点の克服でメルセデスも”納得”

 メルセデスから2025年にF1デビューを飾るアンドレア・キミ・アントネッリ。彼はスパ・フランコルシャンで行なわれたテストで、メルセデスを納得させる鍵になったと振り返った。

 弱冠18歳でF1デビューを果たす若きイタリア人ドライバーのアントネッリ。2025年にフェラーリに移籍するルイス・ハミルトンの後任としてメルセデスに加わるのではないかと以前から噂されてきた。

 しかし旧マシンを使ったテスト(TPC)で、彼が改善すべきいくつかの弱点が露呈してしまったという。持ち前のスピードや、アタックで速いタイムを刻む能力には疑問の余地はなかったが、レース距離での一貫性を示すという点ではまだ不十分だったのだ。

 だが夏休み前のベルギーGP後に行なわれたテストで、その点で一歩前進することができたという。そしてそれによって、自身のF1デビューをメルセデスに納得させることができたようだ。

 ガゼッタ・デロ・スポルト紙が主催した『イル・フェスティバル・デロ・スポルト』に出席したアントネッリは、2022年のメルセデスW13を使ったテストの進展を振り返り、スパでの走りを重要なものとして挙げた。

「TPCのときに印象的だったのは、僕がいかに早く限界に到達し、いかに早くメルセデスが求める目標ラップタイムに到達できたかということだった」

「しかし、テスト中に最も苦労した要素はレースペースだった。でもスパでのテスト最後の2日間は、レースペースをかなり改善することができた。メルセデスが僕と契約することを後押ししてくれたんだ」

「その瞬間まで、彼らは2025年に僕をメルセデスのマシンに乗せたいという考えを持っていた。でもその前に、僕が持っている弱点を改善できるかどうかを確かめたかったんだ」

「スパでのテスト中、僕はいいステップを踏むことができたし、それでメルセデスを納得させることができた。実際、夏休み前にウルフ(トト・ウルフ/メルセデス代表)や僕のエンジニア、メルセデスの人たちと電話をしたんだ。そこで彼らは、僕が2025年に彼らのドライバーのひとりになると言ってくれたんだ。素晴らしい瞬間だった」

 メルセデスはアントネッリへの期待を抑えているが、特にF1イタリアGPのFP1で公式セッションデビューを果たしてわずか10分でクラッシュに終わったことを考えれば、彼は自身が実現したいことに関してかなり野心的だと言える。

 彼はルーキーシーズンにレースウイナーになることが目標だと語っている。

「スピードに関しては問題ないと思う。ただ、週末をいかにベストな形で管理するかということと、すべての手順を学ぶ必要がある。学ばなくちゃいけないことはたくさんある」

「(来年は)間違いなくいくつかのレースで勝つことが夢になるだろう。どのチームも競争力のあるマシンを用意するだろうから、簡単なことではないだろうけどね」

「表彰台に上がるのも素晴らしいだろうけど、一番の目標は優勝することだ」

 さらにアントネッリは、メルセデスがどのようにF1でのチャレンジに備える手助けをしているのか、その一端を明かした。

「ピット側から話しかけられたときに集中力を切らさないようにすることが重要だろう。彼らは有益な情報をくれるためにやっているのだからね」

「テストでは、彼らは僕にどんどん話しかけてきた。F1での手順を覚えることが重要だからね。だから、変更を求められたら、ステアリングホイールのどのボタンに触れて、それが何をするのかを知らなければならない」

「だから、ドライバーとして上達するためだけでなく、手順を学んだり、無線で常に話しかけられることに慣れたりするためにもテストをしているんだ」

「メルセデスはステアリングホイールと、レーススタートのやり方を学ぶための小さなシミュレータを自宅に送ってくれることになっているから、練習はできる」

「ステアリングホイールはF1のものだから、ボタンを覚えるのにも役立つだろう。ハイスピードで走っているときに、ステアリングを見ている暇はない。暗記する必要がある」