ITOCHU ENEX TEAM IMPULのニック・デ・フリーズは、スーパーフォーミュラ第7戦富士を8番手でフィニッシュ。しかしレース中盤のバトルで審議対象となり、レース後にタイム加算ペナルティを受けたことで、11位に降着となった。
デ・フリーズはスーパーフォーミュラでの3レース目、そして最後のレースを17番グリッドからスタート。そこから9ポジションアップの8番手でレースを終えた。
しかし41周のレース31周目、9番手を争っていた山下健太(KONDO RACING)とターン1で接触。デ・フリーズが山下をコース外に押し出すような形となった。これでレース後に5秒のタイム加算ペナルティを科されてしまったのだ。
土曜日の第6戦でも、デ・フリーズは11位。10位の山下に0.210秒差のチェッカーで、ポイント獲得とはならなかった。
デ・フリーズは自分のパフォーマンスに満足しながらも、山下とのバトルにおける自分の言い分とスチュワードの言い分の違いを指摘した。
「この(ペナルティの)裁定は、”日本固有”のモノだと思う。コーナーから100メートル離れた場所で見ていた人たちによって下されたもので、僕の見解とは異なるものだ」
そうデ・フリーズは語った。
「映像を見れば、エイペックスで僕が(山下より)クルマ半分近く前にいるのは明らかだ。僕は通常のラインを走っていて、最適なところで加速している」
「山下はミスを挽回しようとアクセルを踏み込んだが、彼は存在しないギャップを狙っていた。僕は最大限(ブレーキをかけて)ロックしそうだったけど、彼はアウト側からやってきて僕にぶつかってきた」
「チームには申し訳ない。彼らは厳しいシーズンを送ってきたし、(ポイントに)ふさわしかったのに」
デ・フリーズは、スーパーフォーミュラが今後、ホイール・トゥ・ホイールの戦闘を規定するルールに、より国際的なアプローチを採用することを願っていると付け加えた。
「スーパーフォーミュラについてどう思うか、どうすればF2やF1との関連性をさらに高めることができるかという質問を受けることがある」
「しかし、このような国際レースとは関係のないルールは、僕にとって筋が通らないよ」
映像を確認する限り、31周目のストレートで9番手を走る山下の牽制を交わし、イン側のラインを取ってターン1に入ったデ・フリーズだが、ブレーキングの時点では山下とほぼ横並びの状態だった。
確かにイン側を走っていることから、ターンインしていくにつれデ・フリーズが前に出ているが、アウト側の縁石に迫るところでは山下が追いつき再び横並びになっているようにも見える。
山下もレース後にはデ・フリーズとのバトルに不満を爆発させており、ペナルティは妥当だと訴えた。
「インから(押し出して)抜いていくなら誰でも出来ます。僕は1コーナーで完全に当てられて外に出されたので、それがいいんだったら、僕だってやるよ、と思います。5秒ペナルティは妥当だと思います」
デ・フリーズにとって、今回のレースはまさにアップダウンの激しいレースとなった。2周目には、目の前で木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)と三宅淳詞(ThreeBond Racing)が絡み、三宅がスピン。デ・フリーズはそれを避けきれず、フロントウイングを交換するために緊急ピットインを強いられた。
その後、国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と大嶋和也(docomo business ROOKIE)の接触で2度目のセーフティカーが出動した際に、デ・フリーズはタイヤ交換義務を消化。追い上げるきっかけとなった。
「最初のスティントのペースはとても良かった。(2周目の接触の後は)ほぼ毎ラップ1台をオーバーテイクしていたので、とにかく順位を上げることができた。そして2度目のセーフティカーは僕たちの思う壺だった」
「実際、(リスタート)1周目にはすでに岩佐(歩夢/TEAM MUGEN)より前にいた。フロントウイングの交換で失ったポジションのほとんどは、2回目のピットストップの前に取り戻せた。僕はカムイ(小林可夢偉/Kids com Team KCMG)の後ろでコースに復帰した。岩佐はそのすぐ前だったんだ」
スーパーフォーミュラは今季残り2レース。インパルの19号車は、平良響がステアリングを握ることになる。平良は7月の富士戦で9位に入り、19号車で唯一ポイントを獲得している。