新潟初のルヴァン杯決勝進出の影の立役者。ピッチに立てずとも人間性が何より光った主将・堀米悠斗の姿

「堀米(悠斗)キャプテンが率先して、色々とやってくれた」

 クラブ初のルヴァンカップ決勝進出を果たした川崎戦後、松橋力蔵監督が労ったのはピッチで戦った選手とともに、ベンチからチームを支えた主将の姿だった。堀米の貢献なしに新たな歴史を刻むことはできなかったのだろう。

 川崎とのルヴァンカップ準決勝は、2試合合計スコア6-1(第1戦は4-1、第2戦は2-0)で完勝。ファイナルの切符を手にできた理由には、リーグ戦からの守備の修正が挙げられる。

 新潟はリーグ戦の直近4試合で計15失点を喫し、4連敗。ディフェンスの再構築が必須な状況だった。そこで、仲間の意見を取りまとめて指揮官と意見交換を行ない、チームの意思統一を図ったのがキャプテンの堀米だった。

 守備の再構築について、松橋監督は舞台裏を明かす。

「(チーム全員の)目線を揃えました。選手からの話を聞いて、彼らの中で『こうしたほうが良いんじゃないか』という考えがあった。そういった意見が、全員でしっかりと揃うように、堀米キャプテンが率先して、色々とやってくれた。もちろん、全選手が関わったなかで、チームとしての問題を各々が自分の問題として捉えてくれたことが、守備の修正につながっているのかなと思います」
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 松橋監督が賞賛した働きについて、本人は「いえいえ、僕は何も。この2試合、出ていないですから」と謙遜しつつ、取り組みの経緯を語った。

「リーグ4連敗を喫した後、川崎との準決勝・第1戦まで3日ほどしかなかったですが、色々な選手が2、3人で集まって話していたなかで、僕も色々な選手と“良かった時は、どういう守備ができていたのか”という話をした。その結果、ミドルゾーンで構えながらコンパクトに守る、というのが良い時期は自然にできていたよね、という結論が出ました。

 連敗が重なって、『なんとかしなければ』という想いが出すぎて、プレスのタイミングが早まり、結果的に個々の選手が広いスペースを守らなければいけない状況が続いていた。そこさえ改善できれば、自然と攻撃は良くなるかなと思っていたので、リキさん(松橋監督)と話しました。リキさんも同じような考えを持っていたので、“ならそうしましょう”と」

 豊富な経験を活かした知的なプレーも然ることながら、ピッチ外での存在感も堀米の魅力だ。新潟にとってこの30歳は主将として欠かせないプレーヤーである。

 何より、試合後の最後の言葉も印象深い。

「出た選手が悔しさをバネにして戦った結果が決勝進出につながったと思う。サポーターのみなさんは、ピッチに立った選手をたくさん褒めてあげてください」

 プレーした選手たちに想いを寄せるあたりにも、彼の人となりが見えてくる。素晴らしい人間性の持ち主だからこそ、周囲から信頼を置かれるのだろう。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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