“Nippon: Forever in our Shadow”から15年。「日本はいかにして豪州を日陰に追いやったのか」英紙が考察。FC東京監督も鋭い分析

「Nippon: Forever in our Shadow」 

 日本よ、永遠に我々の陰に――。これは2009年の南アフリカ・ワールドカップ(W杯)予選で、当時の岡田ジャパンがオーストラリアに1-2で逆転負けした際、会場のメルボルンで相手サポーターが掲げた横断幕だ。

 ただ、その敗戦以降、日本はオーストラリア相手に一度も負けていない。6勝3分と圧倒的な成績を誇るなか、英紙『The Guardian』が「ライジングスター、移り変わる影。日本サッカーはいかにしてオーストラリアを日陰に追いやったのか」と題した記事を掲載。「かつてはサッカルーズに劣等感を抱いていたサムライブルーだが、60チームからなるJリーグは、オーストラリアがW杯予選で格下になるほどの厚みを生み出した」と綴っている。

「オーストラリアが最後に日本を破ったのは2009年、凍えるように寒い夜だった。ファンは『Nippon: Forever in our Shadow』と書かれたバナーを広げた。2006年W杯で日本を3-1で破った際のティム・ケイヒルの勇姿がまだ記憶に新しい頃だ。このバナーは、日本のファンにとっては何年も忘れられないものだった。

 ケイヒルはドイツ大会の時のように、その夜も日本の急所となり、7万4000人を超えるファンの前で2ゴールを決めた。しかし、あれから15年。両国の歩みは全く異なる。その影は、今では反対側へと向けられている。メルボルンでの対戦以来、戦績は日本が6勝、オーストラリアは0勝だ」
【画像】日本ファンは決して忘れない…豪州サポの挑発バナー
 北中米W杯のアジア最終予選において、森保ジャパンは2戦合計12-0と圧巻のスタートを切った。一方、オーストラリアは1分1敗と大苦戦を強いられ、3節を前に監督がグラハム・アーノルドからトニー・ポポヴィッチに変わった。

『The Guardian』は新指揮官候補に、現在FC東京を率いるピーター・クラモフスキーが挙がっていた点に触れ、「別の世界では、クラモフスキーが火曜の夜、埼玉スタジアムでの重要な日本戦でサッカルーズの監督を務めていたかもしれない」と想像を膨らませている。

「FC東京のボスはアーノルドの退任後、ポポヴィッチが最終的に指揮を執るまで、数少ない候補の1人だった。メルボルン・ビクトリー、サッカルーズ、横浜F・マリノスでアンジェ・ポステコグルー監督のアシスタントを長年務めた45歳の彼は、2018年から日本で働いており、彼らの成功は長期的なプランニングによるものだと評価している。

『60ものプロクラブ、資金や施設など、選手が最高の状態でプレーするためのあらゆるリソースがあり、彼らはその計画に忠実だ。それは日本サッカー協会の功績であり、アジアの他の国よりも上手くいっている理由だと思う』

 1993年に開幕したJリーグは、大陸がうらやむほどのタレントの層の厚さを誇る日本の現代の成功の基盤である。現在3つのディビジョンに60チームを擁し、昇格と降格によって全てのチームが繋がっている。それに比べてAリーグはまだ13チームしかなく、2部リーグができる見込みもない」

 日本サッカーは今後も発展し続け、世界的に見ても強豪の一角となれるか。暗い影とは無縁でありたい。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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