今季のスーパーフォーミュラ開幕戦でポールポジションを獲得し、上位陣の一角として活躍すると目された阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)。しかしながら中盤戦以降はトラブルの連鎖が止まらず、4戦でリタイア3回。さらに先日の第7戦富士では、トラブルが起因して山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)と接触するというアクシデントに繋がった。
トラブルは7月の第4戦富士で顕在化した。フリー走行から決勝にかけて、パワーステアリング、駆動系、スロットルなどにトラブルが立て続けに発生し、まともなレースウィークを過ごすことができなかった。8月のもてぎ戦も、スロットルの電気系トラブルでリタイア。予選で同様のトラブルが起きた際に部品を交換したにもかかわらず、だ。「電気系トラブルといっても、ダッシュボードに出るメッセージは毎回違ってたりするので……」と阪口は困惑気味であった。
これまでも「周りに迷惑をかけなくて良かった」と繰り返し話していた阪口だったが、今回の富士戦では他車との接触に発展してしまった。
アクシデントが起きたのは残り9周だった。阪口は山本と11番手を争い、1コーナー立ち上がりで前を走っていたが、そこで突如失速。背後につけていた山本のマシンが阪口のリヤに乗り上げ、宙に浮いて地面に激しく着地するような状態となった。
マシンを降りた阪口は、コックピットから出られないでいた山本の安否を気遣って声をかけ、その後自身の状況についても説明したという。山本は昨年のスーパーGTでの事故で首に大怪我を負い、今季復活を果たしたばかり。今回の事故直後は無線で首の痛みを訴え、心配された。結局山本はメディカルスタッフの助けを借り、マシンを降りることになった。
その後の山本は大事をとって安静にしつつも、チームのピットを訪れる姿も確認されており、現状は深刻な状態にはなっていない様子。ただ1週間後にスーパーGTのレースも控えており、精密検査を受ける予定であることが明かされている。
第7戦の前日に行なわれた第6戦では、ストールがあったものの懸念されたトラブルが出ることなく久々の完走を果たし、少し安堵したような表情にも見えた阪口。しかし今回はそれと打って変わって、厳しい口調で危機感を口にした。
「山本選手と競っている時に前回のもてぎと同じようなトラブルが出てしまって、今回は巻き込んでしまいました。山本選手とNAKAJIMA RACINGの皆さんには申し訳なく思っています」
「決勝のトラブルに関しては、ずっと引きずっているトラブルなので、良くないですね」
「(最終大会が行なわれる鈴鹿は)3月以来のレースですが、あの時は予選の結果も良かったし、決勝の反省点も修正できる自信があるので楽しみです。ただ、今日のようなトラブルが起きないようにしなければいけません」
「これまでは自分だけが止まっていましたが、誰かを巻き込むのは本当に良くないですし、信頼関係にも関わります。チームとして課題があることをしっかりと認識して、次の鈴鹿に向かいたいです」