バックカントリーでのポールの選び方'24-25

ポール選びのポイント

skier:yuki amari  Photo:motoki sakai

甘利さんにポール選びのポイントを聞いてみた。

「バックカントリーで使うことを想定しているポールには、必要に応じてプローブとしても使用できるものや、パウダーの深さに合わせて長さを調整できる伸縮性のスタイルのモデルが多いです。シャフトの材質によって耐久性や重さ、操作性にも違いが出ます。グリップの形状や素材にもいろいろあり、もちろん手に馴染むものがいいです。

ユーザーのスキースタイルによって、その人にとって適切なポールは変わってくると思います。ただし、最初は何が本当に自分に合っているかなんてよくわからないのが現実です。そこは実際にいろいろ使って試して経験値を上げていく必要がありますよね。大雑把ではありますが、まずはこの2点を抑えていればBCには入れます。

①スノーバスケットが付いている
②長さ調整機能が付いている

その上で、私なりの選び方の着眼点はこんなところです。

アルペン、基礎スキーがバックボーンにあるスキーヤーは、手首、肘を支点に動かすストックワークをかなり重要視します。なので、ストックのスウィングウェイトが軽かったり、先端に掛けてテーパーがかかっている(径や厚みなどが先細りになっている)モデルのほうが感触は良いと思います。

フリースキーをバックボーンに持つスキーヤーは、スキー技術でいうローテーション動作をうまく使って滑る傾向にあると考察します。なので、ゆっくりリングが前に出てくる低重心のストックの方が相性は良いのかなと思います。

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各パーツのポイントをチェック!

長さ調整機能の「ロック」

クリップロックタイプクリップでパチンと締めるタイプ)

クリップロックのタイプのロック部分のパーツが「プラスチック」タイプと「アルミ」タイプがありますが、断然アルミタイプの方が丈夫です。プラスチックタイプは変な負荷がかかると割れるリスクがあります。クリップタイプはツイストタイプよりは壊れにくいです。

ツイストロックタイプ(回して締めるタイプ)

ツイストロックはクリップロックよりもロック機構が小さいのでストック自体のスイングバランスが優れているのが特徴ですが、力強く締めすぎると中のパーツが壊れてしまうし、加減して締めるとストックをついた瞬間長さが変わってしまう原因にもなります。

ポールの長さ

長さの基準ですが、一般的な指標を基に算出すると「身長×67%」滑る際はこれを基準に好きな長さを探していけば良いと思います。私のパターンを例にとると、「パウダーの中でもゲレンデと同じ滑り」を大事にしているので、身長157㎝でストックの長さは107㎝。一般的には少し短めで使っていると思います。

ハイクアップする際は少し長めに調節した方が取り回しがしやすいので、+5センチぐらい長めに調節して登るようにしています。

バスケットの大きさ

厳冬期ではパウダー用バスケットは必須。これがないとポールが雪に潜ってしまいます。また、バックカントリーではバスケットが適切なものでないと、登るときも雪を捉えられずに歩きづらくなります。メーカー表記で「パウダーバスケット」「ワイドバスケット」のタイプでを選ぶことがまず最初の選択。

その上で、パウダー用でも素材によって柔らかい・硬いなどがあり、形も様々です。振り心地や、突いた時の使用感も違うので、自分の好みで決めることになると思います。

石突きの長さ

スノーバスケットから先端までの石突きの長さにこだわる人もいます。BCでは登るときやビンディングの着脱の操作に使うために、ある程度の長さがあるほうが便利かと思います。

シャフトの素材

シャフト部分は適度な重さと耐久性が求められます。素材ですが基本はアルミニウムかカーボンです。写真の奥はアルミニウムのシャフト、手前はカーボンのシャフトです。

とはいってもいろいろなタイプが存在しますし、素材によってその特徴も異なります。

アルミ二ウム:多種多様だが、ハイエンドモデルは強度に優れている。レーシングモデル等はアルミ使用率は高め。
カーボン:軽い、シャフトを細く成型できるのでスイングが軽い。衝撃吸収性に優れている。
バンブー:軽い、見た目がかっこいい。

最近ではカーボンポールといっても中にアルミ合金の補強が入っていたり、正直なところストックを真っ二つに切ってみないとわからないことだらけなんですよね!(笑)山スキーモデルでは、上段シャフトと下段シャフトで素材を変えて強度とバランスを兼ね備えているモデルがたくさんあります。

プライス

値段に関しては、こだわりを持って選ばれるのであれば必然的に高価なモデルになります。(比べれば高いモデルの方が降りやすいし、ハイクアップしていても手にかかるストレスは少ない)ですが、とにかく山で使えればいい!というお客様は高価なモデルはそこまで必要ないと思います。決して安価なモデルだからって壊れやすい等はないですからね!

私が重要視しているのは「グリップ」

自分がポール選びでこだわっているのは、特にグリップです。なぜなら、一番の目的は「ゲレンデと同じ滑りをするため」です。

グリップの形状は、ポールの持ち方によって、大きく分けて3パターンに分類されていてます。
①親指人差し指タイプ
②小指中指人差し指タイプ
③グリップヘッドに親指を被せるタイプ

私は、この写真のようにグリップヘッドに親指を被せる持ち方が一番リラックスでき、腕のポジショニングも安定します。下記で紹介するKG-Mグリップは手の大きくない私にはちょうど良く、親指を被せやすいグリップヘッド形状をしています。

「top to bottom」 のように長時間滑走する場合は、ここまでこだわらないと腕はパンプしますし、バランス、タイミングを確実にとるためのストックワークもできなくなります。最悪、ポールも落としてしまうことも。


そこで私がおすすめしたいのがキザキのKGーMグリップ。・手が比較的小さい方
・海外モデルでグリップが大きくて悩まれている方にはおすすめしたいグリップです。グリップの持ち方スタイルにも対応できますので
様々なユーザーにアジャスト出来る点も魅力の一つです。

KG-M

φ11,14,16,18
左右セット
¥1,650

◆公式HP/https://art-nko.com/kizaki/ski-accessory/

skier:yuki amari

私が愛用しているストックは「swix sonic R1」です。
とにかく軽くて丈夫なカーボンポールです。グリップにマルチハンドルを採用しているストックは重量感もそうですが、ウェイトバランスがイマイチな印象のストックが多いです。

でも、「sonicR1」はゲレンデで使うストックと同様のフィーリングを提供してくれます。上下段カーボンシャフトの使用モデルは実は数が少ないのが現状ですが、sonicR1は上下段カーボンシャフト。それにより、ストックを付いた際の衝撃吸収性能が抜群に良いです。ペイントに使う塗料まで最小限に留め、軽量化に努めているのも重要ポイントの一つです。

特殊な形状のパウダーリングのおかげで物質抵抗、空気抵抗を抑えられている影響も軽さを感じる要因にあるかもしれませんね! 
グリップも一見大きくて持ちづらそうに見えますが、そんなこともないのが不思議な感じ。ストックワークにてタイミングを取るスキーヤーには、かなりオススメしたいストックです。

ちなみに私は既存の製品のままだと長すぎるので、10センチカットして使用してます。ご相談はお店まで!

SWIX|SONIC R1

SONIC R1|Size:105~130cm|BASKET:75㎜|¥30,800

◆公式HP/https://swix.jp/