今年で43歳となったアストンマーティンのフェルナンド・アロンソ。現役F1ドライバーでは最年長だが、昨年の活躍によって若い世代にも“まだ終わっていない”と示すことができたと考えているようだ。
2001年にミナルディ(現RB)からF1デビューを果たしたアロンソ。2006年と2007年にはルノーで世界タイトルを獲得し、その後もマクラーレン、フェラーリを渡り歩き計32勝をマークした。
ただ、その後アロンソはチーム状況もあり勝利には手が届かないシーズンも続き、一度はF1を離れた。しかし2021年にアルピーヌからF1復帰を果たすと、2023年からアストンマーティンへ移籍。チームがマシン開発で大きな1歩を踏み出したこともあり、いきなり8度の表彰台を獲得する活躍を見せた。
F1グリッドに並ぶドライバーの多くは20代。そしてここ数年のF1人気と共にやってきた新しいファンに対して、未だ劣らず競争力を発揮し続けることができていると証明できたとアロンソは言う。
チームオウンドメディアでのインタビューで、自身が異なる世代のファンを繋ぐ存在だと思うか? と訊かれたアロンソは次のように答えた。
「ああ、もちろんだ! F1に参戦した最初の2シーズンはヨス・フェルスタッペンとレースをしていたし、今は(息子の)マックスとレースをしている!」
「若い世代は僕を年寄りのように見ていたと思う。彼らの両親は、僕のF1タイトルやルノー、マクラーレン、フェラーリでの勝利について話すだろうからね。12〜13歳くらいの人たちからすると『わかった、わかった。そういうことは聞きたくない。今は違う。今勝っているのは他のドライバーだ。あなたは過去に生きている』という感じだろう」
「しかし昨年は表彰台に登って、アストンマーティン共に新しい世代のファンの心を射止めたみたいだ。Netflixの『Drive to Survive』を通じてこのスポーツを知った新しいファンなど、若い世代を取り込んだんだ」
そしてアロンソは、昨年の表彰台獲得によって若い世代に自身の力を証明できたと語った。
「昨年は若い世代にとって目覚めの年だった。突然『フェルナンド・アロンソという男はまだやれる。まだ競争力がある。私の両親が彼について言っていたことは本当なんだ』という感じになった」とアロンソは続けた。
「そして今、僕を応援し、F1に興味を持ってくれている20歳も離れた世代が、空港や街角、サーキットや自分のミュージアムで見かけるようになった。どのスポーツでも、まったく異なるふたつの世代のファンとこのような繋がりを持つアスリートを見つけるのはとても難しい」
「2000年代に僕を追いかけ、僕がタイトルを獲得するのを見た人たちがいて、今では彼らの子どもたち、彼らの息子や娘たちもF1を観戦し、僕を応援してくれている」
「F1への情熱という点で彼らを繋いでいるのは僕なんだ。一周周って同じようになるなんて素晴らしい話だ」
アロンソはF1ドライバーとして自身の存在が人々の記憶に長く残ることを望んでいるとしつつも、「物事は移り変わっていくモノだ」と受け入れた。
そして“過去の遺物”にならないため、F1ドライバーを引退した後もアストンマーティンに残り、自身のノウハウを活かしていきたいと改めて明言した。
「今に留まり続けるため、少しでも長く記憶されるために役立つことがいくつかある」とアロンソは言う。
「自分の名前を冠したカートブランド“FAアロンソカート”を持っていて、世界中の主要選手権でカート世界チャンピオンたちがレースをしている。また才能ある若手ドライバーを指導・育成するためにA14マネジメントを設立し、オビエドにはミュージアムとカート場を持っている」
「今年初めにチームと再契約した時、この契約は単にドライブするだけではなかった。2026年シーズンとこのスポーツの新しいテクニカルレギュレーションを見据えたモノだ。そこから、あと何年ドライブを続けられるか見てみよう」
「F1で走るのをやめたとしても、僕はチームの一員であり続けたい。そうすることで、30年以上にわたるモータースポーツ人生での学び、経験、全てが活きていく。年月が経つにつれてゆっくりと死んでいくことがないようにしたい」