・1時間観察してみた
どうやら、構図とかもそのおじいちゃんが指示している様子。並んでいる外国人もおじいちゃんの指示に従って写真を3パターンくらい撮って満足気に帰っていく。お金を取っている様子はない。
自分で「こう撮りたい」みたいなアイデアを相談している人もいる。身振り手振りと最低限の英単語でコミュニケーションを取りながら要望に応えるおじいちゃん。満足気に帰っていく外国人。完全にさばいている……!
(広告の後にも続きます)
・話を聞いてみた
後ろの腰掛に座っていても、特に何か言われることはない。そうやって1時間くらい様子を見ていたところ、おじいちゃんが「やれやれ」という感じで休憩に入った。そこで話しかけてみたぞ。こんにちはー!
おじいちゃん「ん? はい、これ」
挨拶しただけで折り紙の手裏剣くれた。
私「ハチ公の記念撮影の手伝いをされてるんですか?」
おじいちゃん「そうだね」
私「1日ずっとやってるんですか?」
おじいちゃん「いや、1日はやってないよ。午前中だけ。午後になると列が伸びすぎて俺の手に負えないんだよね。『横入りすんな!』とかケンカっぽくなることもあって」
私「そういう列整理的なこともしてるんですね。これは何かの仕事?」
おじいちゃん「いや、ボランティアだよ」
私「どれくらいやってるんですか?」
おじいちゃん「5年くらいかな。コロナ禍の間は休んでたんだけどね」
私「最近再開したんですか?」
おじいちゃん「そうだね。今年の5月くらいから。あんたもハチ公と撮ってあげるよ」
私「ハチ公じゃなく、2人で一緒に撮りませんか」
おじいちゃん「いいよ。って何がしたいんだよ」
私「実は、僕、ロケットニュース24というニュースサイトの記者をやってまして、記事で紹介してもいいですか」
おじいちゃん「別にいいよ」
──とのこと。取り組んでることは一見変わってるけど、話してみると、しっかりした人だったので、ハチ公じゃなくおじいちゃんと記念撮影してみた。
四谷のオリオン座星人や屋久島の東屋のヌシなど、全国の謎おじいちゃんと対戦してきた私。また1人、謎おじいちゃんと遭遇してしまった。だが、さすが渋谷。コロナ禍のタイミングは休むとかの判断は周りが見えている感じがしたのであった。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.