信じられないような失点で典型的な負けパターンにハマりつつも黒星を回避。オーストラリア戦でスタジアムの重い空気を振り払った“救世主”は中村敬斗【日本代表】

 2024年10月15日、北中米ワールドカップのアジア最終予選で日本代表がオーストラリア代表と対戦し、1-1と引き分けた。

 サウジアラビア戦と同じ3-4-2-1システムでスタートさせた日本は、GKが鈴木彩艶、3バックが板倉滉、谷口彰悟、町田浩樹、ボランチは守田英正、田中碧、ウイングバックが堂安律、三笘薫、シャドーが南野拓実、久保建英、CFは上田綺世という布陣で臨んだ。

 オーストラリアも3-4-2-1システムでミラーゲームとなった状況で、日本は持ち前の組織力を活かしたサッカーでボールを握る。コンパクトな陣形を保って攻め込むスタンスは相変わらずで、ボールロストしても果敢なハイプレスでパスコースを狭めてセカンドボールを回収と、この日もチームとして機能している印象だった。

 ビルドアップの質は明らかに日本のほうが上で、オーストラリアの攻撃にさほど怖さはなかった。しかし、前半はスコアレス。中央のエリアをしっかりと固めるオーストラリアの壁を崩せず、結局、決定機はゼロだった。

 
 こうなるとサッカーというスポーツは面白いもので、流れが変わる。実際、先制したのはオーストラリアである。谷口のオウンゴールと信じられないような失点だったが、押していたチームが攻めあぐねて先手を取られるのは珍しくない。サッカーにおいて典型的な負けパターンにハマりつつあったと、そんな見方もできるか。

 0-1となってスタジアムを覆う重い空気を振り払ってくれたのが“救世主”中村敬斗だ。70分に久保と交代して左ウイングバックを任されると、その6分後にテクニカルなドリブル突破からのクロスでオウンゴールを誘発。大仕事をやってのけたのだ。

 典型的な負けパターンにハマらなくてよかったというのが、率直な感想だ。ただ、黒星を回避できたとはいえ、ホームゲームで勝点2を失った感もある。捉え方はそれぞれだろうが、個人的には純粋に喜べない試合だった。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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