金田喜稔が豪州戦を斬る!「試合展開によって4バックに変えても良かったのでは? 久保はサイドに張るのは良いけど...」

[W杯最終予選]日本 1-1 オーストラリア/10月15日/埼玉スタジアム2002

 日本代表は北中米ワールドカップ・アジア最終予選の第4節でオーストラリア代表と対戦し、1-1のドローに終わった。

 全体的に見たときに、ポゼッションも日本のほうが圧倒的に上回っていたし、全く悪くはなかったよ。

 森保監督になってから、選手たちの攻守の切り替え、特に攻撃から守備への切り替えの速さは非常に良かった。良い守備をして、いい攻撃に繋げる部分で、いくらメンバーが変わっても、誰ひとりさぼらない。この規律は、世界で一番高いと思う。

 また、コンビネーションの構築や個人のスキルアップのベースも上がっているなかで、大崩れしないチームになった。過去、4年前とかに比べても絶対的にレベルが高くなっていると今日の試合を見て感じた。

 ただ、ひとつ言うとすれば、もう少し中への縦パスを増やしたかったところ。あれだけ5バックで守られて、守備を固めたオーストラリアに対して、サイドに起点を作って攻めていくボールの運び方はできていた。
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 でも、上田が外に動く、あるいは鎌田がマークを引き付けたり、南野が引き付けたりして、前の選手の動きの組み合わせで、縦パスのコースを作って、1本入れてから空いた背後のスペースを突く。引いて守られるなかでは難しいと思うけど、それをどうやって作っていくかというチーム全体のコンビネーションや約束事を突き詰めて、攻撃を作っていくフェーズにもうきているんじゃないかな。

 中央でのボール回しができないと苦しくなるよね。今回のオーストラリアのような相手に対してもそれができれば、ミドルシュートももっと増えてくるはず。何とかミドルシュートをみんなで打っていきたいよね。今日のゲームだったら。

 システムの臨機応変さも必要だと感じた。個人的には3バックだけではなく、センターバックが2人でも守れる試合なら、例えば菅原を入れるとか、町田が4枚の左になるとか、町田を外してサイドバックの選手を入れるとか。4バックにすれば、もっとウイングの三笘と伊東の位置を高くキープできる。

 3バックのディフェンスは上手くいっているね。それは正しいと思うけど、今回のように完全に守り切ろうとしているオーストラリアが相手と考えた時には、思い切って、両サイドに対してオーバーラップができる距離感で配置できる4バックに試合展開によって変えることも、攻撃に変化をつけるために、とっても良い策じゃなかったかなとは思う。

 もちろん結果論なので、何とも言えないけれど、それぐらいの戦術的な仕掛けをして相手を混乱させるやり方があっても良かったかなと。
 
 個人の話をすると、前節のサウジアラビア戦ではベンチスタートだった久保が先発だったね。久保はよくやっていたと思うよ。でもボールを簡単に失ってしまって、相手にカウンターのシーンを2、3回作られてしまっていた。決して今日は効果的なプレーが多かったわけではないね。

 フィジカルやスピードで、相手に奪われたらそのまま置いてかれてしまって、結構、右サイドでやられてしまっていた。だからと言って攻撃で多くボールに絡む姿勢は素晴らしかったし、そこはマイナスではない。

 ただ、立ち位置の部分で、堂安とのポジションチェンジで、サイドに張るのは良いと思うけど、今回に関して、久保は中にいたほうがシュートも打てるし、パスも出せるし、そっちの方活きるかなという感じはする。
 
 非常に躍動感があったし、走る距離も運動量も多かったと思うし、根本的には全然悪くない。久保がいればいろんなパスが出せるので、もっと中央から攻めるシーンを見たかったね。

 とにかく、先制される展開のなかで、追いついて非常に意味のある勝点1をしっかり取れたのは素晴らしかった。全然、私は全然ショックを受けていないです。プラスに捉えられる試合でした。

【著者プロフィール】
金田喜稔(かねだ・のぶとし)/1958年2月16日生まれ、66歳。広島県出身。現役時代はドリブルの名手として知られ、中央大在学中の1977年6月の韓国戦で日本代表デビューを飾り、代表初ゴールも記録。『19歳119日』で記録したこのゴールは、現在もなお破られていない歴代最年少得点である。その後は日産自動車(現・横浜)でプレーし、1991年に現役を引退。Jリーグ開幕以降はサッカーコメンテーター、解説者として活躍している。

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