ARRI、「Ensō」プライムレンズ発表。大規模な予算やクルーを確保できない企業撮影、ドキュメンタリー、コマーシャルにARRIの品質を提供

ARRIは、「Ensō」プライムレンズシリーズを発表した。Ensōプライムレンズシリーズは、企業や商業コンテンツクリエーター、キャリアの初期段階にあるオーナーオペレーターに最適だという。小型で持ち運びがしやすく、汎用性の高い同レンズは、様々な条件下で卓越した映像を提供するという。美しく滑らかでバランスの取れた自然な描写力は、レンズの裏側に取り付けるEnsō Vintage Elementsで調整することができ、コストパフォーマンスに優れたひとつのレンズで様々な表情を捉えることができる。

Ensōプライムレンズのコアセット(18mm、24mm、32mm、47mm、75mm、105mmとEnsō Vintage Elementsキット)は現在注文可能で、11月に発送開始予定。

Ensōプライムレンズは、ドイツの精密工学と日本の光学技術を組み合わせて制作された。シンプルさと純粋さがデザインの指針であり、円形の禅書画のシンボルにちなんでEnsō(円相)と名付けられたという。一筆で円相を創り出すことは、雑念を捨て、創作の流れに完全に身を委ねることを必要とする、本質の表現であるという。ARRI Ensōプライムレンズはその哲学を体現しており、技術的な懸念を捨てて瞬間を捉えることに集中できるよう、ユーザーに自信を与える。


通常照明のセットでも、最小限の照明、少人数のクルーでの撮影が求められる時間や制作費の限られた作品創りでも、Ensōプライムレンズは効果的にコントロールされた映像制作を可能にする。ARRIの伝説的な製造品質と耐候性を組み合わせつつ、様々な撮影環境における信頼性により、ユーザーは技術的な懸念を忘れ、自由な創造性で周囲に対応できるようになるという。

短い至近撮影距離は、Ensōプライムレンズの際立った特徴であり、ほとんどの焦点距離で1:4の撮影倍率を実現。32mmレンズの至近撮影距離はわずか25.4cm、被写体とレンズ先端との距離はわずか9.4cmで、商品や料理の撮影などの美しいクローズアップ撮影が容易になる。また、ブリージングを最小限に抑えることで、フォーカスラックがフレーミングに与える影響はほとんどない。見事なぼけ味とフォールオフが、レンズの感情的焦点の特性をさらに際立たせるという。

シャープで忠実でありながら、穏やかで自然なEnsōレンズのルックを実現するために、様々な光学パラメータの調整に細心の注意が払われているという。異なるルックを必要とするプロジェクト向けに、ARRIは、Ensōプライムレンズの後部に磁石で取り付けられる交換可能な光学部品、Ensō Vintage Elements を提供。Ensō Vintage Elementsは従来のフィルターの範囲をはるかに超え、映像のルックと雰囲気を段階的に変化させる後部レンズ調整を迅速かつ簡単に提供する。

Signatureレンズ用のインプレッションフィルターに関するフィードバックからARRIが学んだことを基に、Ensō Vintage Elementsは大きく改良されたという。フィルター効果をより強めることで、映像の中心部はシャープでピントが合いやすく、フレーム周辺部ではより強いデチューン効果が得られる。内蔵されたチップが焦点距離、Tストップ、フォーカスのシフトに関するメタデータをカメラに伝え、そこから撮影現場のモニターやポストプロダクションとも連携する。Elementsによるフォーカススケールの変化は、付属のレンズシムを使うかどうかにかかわらず、ARRI Hi-5ハンドユニットで自動的に補正できる。

Ensōプライムレンズの6本コアセットには、6種類のVintage Elementsが標準装備される。3段階のプラスの強度をもつエレメントを装着すると背景のぼけ味はスメア状でソフトエッジ、フレーム四隅にはペッツバルのような渦巻きが発生する。逆にマイナスの強度を3つのElementsでは、ピントの合っていない背景のハイライトは中心が拡散し、明るい輪郭が重なり合ってよりエッジの効いた力強い雰囲気を作り出す。同キットにはEnsōクリエイティブアダプターも含まれており、ユーザーが独自のElementsを考案し、後部レンズの調整を行うことができる。3つの保持枠が付属しており、様々な厚さのガラスやその他の素材を使用し、しっかりと保持できる。

優れた光学性能を小さな筐体に凝縮したEnsōプライムレンズは、小型かつ軽量で持ち運びしやすく、撮影現場での作業を迅速かつ容易にする。ギアリングは、14種類すべての焦点距離で同じ位置に揃えてあり、そのほとんどのレンズがT2.1の明るさとフロント径95mmで統一されているので撮影中のレンズ交換が簡単。コアセットには最も頻繁に使用される6本の焦点距離が用意されているが、広角の10.5mmと14mmや望遠の250mm(付属の1.4x/2xエクステンダーを使用すると350/500mm)をラインアップに加えることによって様々な場面の撮影に対応する。


Ensōプライムレンズは、クリエイティブな旅のどの段階にあっても、幅広い映像メーカーにアピールできるように設計、価格設定されているという。Ensōレンズは、大規模な予算やクルーを確保できない企業撮影、ドキュメンタリー、コマーシャルにもARRIの品質を提供することで、ユーザーを保護し、成長させ、クリエイティブな流れに乗ることを可能にするという。