もてぎ戦で話題となった“号泣少年”をレースに招待した太田格之進とスーパーフォーミュラ。近藤真彦会長も後押し「すぐに動いて欲しいと」

 レース終盤までチームメイトの牧野任祐を抑えて首位を走っていた太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が、トラブル起因によるスピンでリタイアするという、劇的な展開となったスーパーフォーミュラ第5戦もてぎ。その際、観客席で号泣する太田ファンの少年の姿が中継で映し出され話題となったが、その少年は太田とシリーズ側の働きかけにより、先日の富士大会に招待された。

 事の発端となったのは、レース後に中継映像を見たという太田のSNSでの発信だった。

「小さな子が泣くくらい応援してくれてる。レース後に映像を見てめちゃくちゃ励まされた」

「この子をピットに招待したい。なにかよい方法はないですか?」と太田が投稿したところ、シリーズプロモーターである日本レースプロモーション(JRP)も「JRP動きます!」と反応。ファンの協力もあり、少年の家族のアカウントと繋がったことで、招待の手配を進めることができたようだ。

 富士大会の土曜日朝には、太田と少年の面会が実現。太田は兄弟ふたりをチームのピットに案内し、マシンの前でステアリングを実際に触らせたりと、交流を深めた。憧れの太田と間近で対面できたということで、緊張から彼らの表情もやや硬かったように見えたが、交流の後には「ちょっと緊張したけど楽しかった」と話した。

 こういった心温まる出来事の背景についてJRPの上野禎久社長は、近藤真彦会長の後押しも大いに影響を与えたと明かした。

「当時、太田選手が『なんとかあの子を招待できないか』と言っていたタイミングでしたが、映像を見た近藤会長が、『俺たちの大事なファンだから、動こうよ』と言ったんです」

「それで僕が『JRP、動きます』と言ったら、(スーパーフォーミュラのSNS担当が)そのままそれを書いたんですよね(笑)。そこから繋がっていきましたね」

 そのコメントに対し、近藤会長も自ら次のように補足。“未来のモータースポーツファン”を大切にするアクションをスーパーフォーミュラはしていく必要があるのだと述べた。

「映像を見ていて、JRPはこういうことをしなければいけないと思いました」

「何と言っても、あの子は未来のモータースポーツファン。それを確信しました。もちろんあの子だけではなく、今回もたくさんのお子さんが来ています。そういう未来のモータースポーツファンの象徴が彼だったということで、すぐに動いて欲しいと上野社長に伝えました」

「今回、色んなところで少年と格之進の映像が流れるかと思いますが、これからもファミリー層や未来のモータースポーツファンを増やしていきたいと考えています」