F1でのダブルタイトル連覇が途切れる可能性に直面しているレッドブル。彼らは来季、ふたりのドライバーの間で大きなパフォーマンス差が出ることは許されないと感じている。
今季のレッドブルは中盤戦以降のマクラーレンの台頭に押される格好となり、既にコンストラクターズ選手権ではマクラーレンに首位の座を奪われている。それだけでなく、ランキング3番手のフェラーリも34ポイント差に迫っている状況だ。
これは、マックス・フェルスタッペンがポイントリーダーの座をキープしている一方で、セルジオ・ペレスが苦戦していることも大きな要因となっている。フェルスタッペン331ポイントに対し、ペレスの獲得ポイントは144で、ランキングは8番手に沈んでいる。
更迭の噂が絶えない中で、夏休み以降もシートを繋ぎ止めたペレスだが、チームとしては彼が得意とする市街地コースでの復活を期待していた部分もあるだろう。ただ、アゼルバイジャンGPでは表彰台争いをして見せたものの、カルロス・サインツJr.(フェラーリ)とクラッシュしたことでチャンスを逸した。
そして今週のアメリカGPからは、リアム・ローソンがダニエル・リカルドに代わってRBから参戦することになった。これはレッドブルの来季ドライバーラインアップの選定にあたり、ローソンの実力を評価するための人事だ。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表としても、来季はタイトル争いがさらに厳しくなる可能性が高いため、来季に向けてどのような選択肢を持てるのかをしっかり理解することが重要と捉えている。コンストラクターズ選手権の順位がひとつ落ちると、チームに入る収入額も10億円規模で変わってくるのだ。
「我々は必死に答えを追い求めている」とホーナーはmotorsport.comに言う。
「ライバルに目をやると、(ルイス)ハミルトンと(シャルル)ルクレールのコンビとなるフェラーリは来年も強いだろう。それに、マクラーレンは(ランド)ノリスと(オスカー)ピアストリという強力なラインアップだ」
「両ドライバーの間に、大きな隔たりがないようにする必要がある。そんな余裕はないからだ」
レッドブルはこれまで、デビュー半年で昇格したアレクサンダー・アルボンのように、ルーキードライバーの起用も厭わなかったが、最近では、ベテランのペレスを4シーズンにわたって起用してきた。しかしながら、彼らが再び若手の起用に前向きとなる材料も揃っている。それは今季のオリバー・ベアマンやフランコ・コラピントの活躍だ。
レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコも、『Speedweek』のコラムで次のように述べている。
「オリバー・ベアマン、そして特にフランコ・コラピントの登場は、若手ドライバーにステップアップの準備ができていることを示している」
「かつて一部のチーム代表が持っていた『若手ドライバーに3年か4年の経験を積ませてからトップチームに行かせるべき』という考えは過去のものになりつつある」
「メルセデスは今回の起用(来季のアンドレア・キミ・アントネッリ起用)を通してそれを証明したし、レッドブル・レーシングも過去にはそういった決断をしてきた」
「つまり、若手を信用することもできるということだ。一定のリスクはあるが、それはなんとかできるものであり、それだけの価値がある」