心拍数上昇アラートでわかった異常とは…Apple Watch Series 10がくれる健康と睡眠の“ラグジュアリー”

2021年夏に大きく体調を崩したのを機にApple Watchを購入した。目当ては主にヘルスケアサポート。その後の進化の恩恵も受けながら、57歳の今、この“腕時計”とは一生ともに生きていくのだと思っている。

突然の動悸にパニック状態に

2021年8月のある休日。自宅でひとりくつろいでいたら、突然胸がバクン、となった。

(え? なに?)
と思うまもなく、鼓動はどんどん速くなっていく。
オノマトペで表すなら、ドッドッドッドからドドドドドとなり、生まれて初めての突然の激しい「動悸」に、大袈裟ではなく死を覚悟した。

もちろん精神的にはパニック状態である。ひとりきりだし休日だし全然収まらないし。
で、救急車のお世話になった。

搬送された救急病院で横になること、2時間。心電図に血圧に血中酸素濃度に採血…さまざまな検査をするもなにか疾患が見つかるわけでもなく、搬送時には140くらいあった心拍数と、やはり140超えだった血圧も徐々に落ち着いていった。
原因は不明、しかしなにか重篤な値が出たわけでもないので、そのまま帰宅となった。

いったい何だったんだろう‥‥と思いつつも、とりあえず検査でなにも出なかったんだから大丈夫だろう、収まってよかった、というのが正直な気持ちだった。

その2週間後の日曜にまったく同じ症状が出た。
またもや休日、またもや家でひとりだった。
喉から心臓が飛び出るんじゃないかと思うほどの激しい動悸と冷や汗、悪心、めまい……また救急のお世話になった。
さすがに不安になり、それから日数をかけて本当にたくさんの検査をした。

心臓エコー、24時間心電図ホルター、耳管検査、甲状腺CT、頭部CT、ホルモン、脳波……てんかんの検査まで。その間、2ヶ月のうちに同じような症状に6回ほどみまわれた。

ときは集英社オンライン創刊準備のころ。この頃のスケジュールアプリを見ればたくさんのミーティングや会議の予定とともに、検査や診察の予約がびっしりと記されている。

重ねて、ときはコロナ禍まっただなか。未曾有の状況下で謎の発作に悩まされ、病院行脚に明け暮れ、最後のほうでは検査結果を聞きにいくたびに「いっそ、何か見つかってくれ」と思ったほど。今思えばまともな精神状態じゃなかった。

こうした診察や検査の過程で、医師から何度か言われた言葉がある。

「メンタルかもしれませんね」
「ストレスで自律神経のバランスが崩れているのかも」
「パニック発作の可能性もありますよ」

なので、並行して心療内科の門も叩いた。

ストレスね、ストレス‥‥メディアの創刊準備ですごく多忙とはいえ、やりがい抜群、家庭でも人間関係でもとくに悩みはなし。いや、なにがストレスかって、この訳のわからない体調不良がいちばんのストレスなんだよ!…と思いながら。そしてパニック発作でもなかった。

いつかまた動悸が起きるかも…とビクビクして、自由に生活できなくなったり、そのストレスが発作につながるようなバッドスパイラルになってはいかん……と自分なりに考えた。

不安になるな、リラックスしろ……言い聞かせるのは簡単だ。でもこれだけ弱気になっているときには、もう少し安心のバックボーンが欲しい。

で、2021年10月、心拍数測定と心電図アプリからのサポートを求めて、Apple Watch Series 7を、Apple表参道で購入した。

(広告の後にも続きます)

スマートウォッチに求めるものとはなにか

スマートウォッチを使う理由とはなんだろう。
通知機能、健康管理、運動記録などを利用したい、あるいは新しもの好き、ガジェット好きというのもありだろう。

2015年に初代Apple Watchがリリースされたときにその多機能ぶりは話題となったが、正直、ウェアラブルコンピュータとしての多様性と利便性、なによりヒューマンライフとの親密性をここまでアップグレードさせるとは、この頃に想像できただろうか。

実際、2021年に遅まきながら購入した自分は、Apple Watchのことを知っているようでまったく知らなかったことに気付かされた。

私の健康上の不安材料である動悸(心拍数)については、ただ計測ができるだけでなく、高心拍、低心拍といった異常を一定時間計測したときは通知がなされる。
心電図を測定すれば心房細動の兆候の有無がわかる。

たとえば明け方に動悸が始まり、心拍数140近くなってしまったときに、Apple Watchで心電図を測定し、高心拍数表示は出るものの、心房細動の兆候がないことがわかるだけでも安心感につながるというものだ。

そもそも不整脈や動悸というのは発作が起きているときのリアルタイムの心電図測定が重要だという。けれどそうそう都合よくはいかない。

「Apple Watchの心電図はけっこう正確なので、気になったときに測定しておいて、紙に出力して診察のときに持ってきてください」

と言ったのは大学病院の循環器科のドクターだ。
Apple Watchで測定した心電図データはすべて記録され、PDF出力もできる。実際、そのデータを出力して持参したり、救急時にはiPhoneの画面の心電図データをそのまま見せて診断をあおいだこともある。

あるときは「安静時心拍数が上昇しています」とiPhoneに通知が出た。これもApple Watchの日々の測定によるものである。
これは、甲状腺ホルモンの分泌が若干過多になっていたことが原因だった。そういえばこのころはとくに食事を減らしてもいないのに、体重が減少気味であった。

この年になるとホルモンバランスの乱れはあれこれあるもので、甲状腺については服薬するほどではないとの診察のもと、放っておいたら自然に正常値に戻り、それにともないApple Watchの安静時心拍数の平均値も下がったのにはなかなかびっくりしたし、ちょっと感激した。

そんなこんなで漢方や鍼灸にも頼り、だんだんと謎の不調は落ち着いていき、結局は迷走神経が正常に機能しないことがトリガーになっての自律神経失調が原因では、ということになっている。
そういえば、最初の動悸の1週間前に注射を打ち、そのあと気分が悪くなってしばらく横になっていたことがあった。いわゆる迷走神経反射で、それがきっかけだったのかもしれない。

けれど、今もなお、Apple Watchとの蜜月は続いている。