【ネタバレなし】海外で高評価の自主制作映画『最後の乗客』は、キャッチコピーを忘れて素直に観てほしい作品

・思った通りの展開だけど……

正直申し上げると、途中で何が起きるか容易に想像がついてしまう。「こうかな~」と思った通りに事が進んでいく。

しかし、つまらないとは思わなかった。

というのは、登場人物たちの心象をとても丁寧に描いているからだ。家族や絆などテーマはありふれたものではあるけど、ささやかな一言が胸に迫るものがある。

詳しくはネタバレになる可能性があるのでお伝えできないのだが、自分も何気なく使っていた言葉が時に人を傷つけることもあるんだと、気づかされる場面があった。

何より演じられた俳優の皆さんの演技が素晴らしい。とくに、ドライバー遠藤役の冨家さんの演技に涙を堪えられなかった。あのシーンは思い出しても泣ける。そういえば、侍タイムスリッパ―でも終盤の演技は脳裏にしっかりと刻まれている。冨家さんはスゴイ!

今作を通じて、何気ない日常の大切さや、いたずらに絆を傷つけることの無意味さ、そんなことを考えさせられた。

最初に述べたように、作品のタイトルやポスターからいろんなことを想像してしまうけど、それらを一旦忘れて、紡がれる物語を素直に受け取ってほしい。きっと、観た人がそれぞれに感じ取るものがあるはずだ。

参考リンク:『最後の乗客

執筆:佐藤英典

Photo:Rocketnews24